ドイツ版新幹線「ICE」で帰路につくが…
ドイツ在住で、モータースポーツを中心に取材している池ノ内みどりさん。フォトグラファーのダニーさんとの取材の旅が続きましたが、お別れしてそれぞれ帰路に着くことに。フランクフルト中央駅からドイツ鉄道(DB)の高速鉄道(ICE)で自宅のあるミュンヘンへ向かいます。ドイツは時間厳守のイメージがありますが、それも今は昔の話? 街の様子や交通事情についてお届けします。
欧州最大級のモーターショーの会場だったフランクフルトへ
オランダ情緒たっぷりのドイツの小さな町「メッペン」での取材を終えて足早に岐路へ着きました。一緒に取材をするフォトグラファーのダニーさんとは帰る方向が途中で違いますので、フランクフルト中央駅で降ろしていただき、そこから電車で帰宅することになりました。メッペンの取材先からフランクフルト中央駅まではアウトバーンで約420kmの距離です。
午後の早い時間に取材先を出たので、いつも激混みするデュッセルドルフとケルン間のアウトバーンではほとんど渋滞なく通過できてよかったです。そのためにお昼ご飯抜きだったので、途中のサービスエリアで休憩した際にはケーキとコーヒーを食べましたが、そんなものじゃ腹の足しにもなりません(笑)。
早く自宅に戻ってゆっくりしたい一心で、ダニーさんはアウトバーンを飛ばしてフランクフルト中央駅に送り届けてくれました。フランクフルトといえば、アルプスの少女ハイジがクララと出会った都会。ハイジが「山が見えない」と悲しんだ大都会です。私の住むミュンヘンには高層ビルが少ないので、都会のキラキラした雰囲気は久しぶりです。
以前「フランクフルト国際モーターショー」が開催されていた時には必ず訪れていた街ですが、会場が我が街ミュンヘンへ移動してからは何年も来ていなかったのでとても新鮮です。ダニーさんは長年F1チームのフォトグラファーだったこともあり、フランクフルトの風景を見て「まるで東京みたいだね」と懐かしんでいました。スイスにもフランクフルトのような都会はありませんからね。時間があれば街の中心地に行ってクリスマスマーケットを見に行ってみたかったのですが、早く帰宅したくて今回は断念しました。
物価高騰にびっくり
フランクフルトから乗り換えなしでミュンヘンまで帰れる次のドイツ鉄道(DB)の高速鉄道(ICE)は、チケット購入から15分後に出発する便。それを逃すと乗り換えありの便に乗るか、1時間後に出発の直行便になります。
ペコペコにお腹が空いていたのでホームから近いお店で何か買えないか探しましたが、時間が気になってゆっくり見ている暇はありません。乗る予定だった便が5分遅延という掲示が出ていたので、思い切ってフードコートの中華屋さんへ行って野菜あんかけ弁当のようなものを購入。値段をじっくり見ている時間がなくて、「コレください!」と20ユーロ札を出してお釣りをいただいてビックリ。これが16ユーロ?(約2600円!)。やっぱり買わないとは言えず、それを持って荷物を引いてホームをダッシュ! ホームは人であふれかえっているので、2等車の自由席のチケットを持つ私は先頭車両までヒーヒーハーハー。
途中にホームの自動販売機でコーラを買おうと値段を見たら、3ユーロ(約500円)でこれまたびっくり。諦めて手持ちのミネラルウォーターで我慢しました。駅や空港は元から何でも高いとは分かってはいますが、改めて昨今の物価の急上昇を感じました。
ドイツ鉄道は遅延が常態化
電車が到着した際には、降りる方が優先、その後で順に乗車という日本のような暗黙の法則はヨーロッパでは通用しないので、降りて来る方がおられるのにわれ先に乗車しようとするがっついた方たちで余計に乗り降りに時間がかかり、秩序のないこの風景にもうんざり。
先頭車両だったせいか他の車両よりも空いていたので席をすぐに確保し、やっと野菜あんかけ弁当を食べようとしたら、さらに25分遅延との車内アナウンスが。もっと早くに遅延のことをアナウンスしてくれていたら、もっと食のバリエーションがあったし、ホームを端から端までダッシュしなくて良かったのに! と思いましたが、仕方がありません。
これが典型的なドイツ鉄道。25分遅延などまだマシな方です。日本の鉄道がいかに素晴らしいかということをいつも実感します。かなりの遠距離でも私が仕事でほとんど鉄道を利用しないのは、この度重なる遅延も大きく関係しています。