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80年代バブル当時、六本木界隈で存在感抜群だったアルピナ「B9 3.5/1」が1000万円オーバーで落札! ヤングタイマー人気で今後の価格に要注目

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

今回の落札価格はかなりリーズナブル。でも将来はもっと上がる可能性も……?

2024年11月のRMサザビーズ「Munich 2024」オークションに出品されたのは、アルピナAGが1983年から1985年にかけて製作したとされる73台のBMWアルピナ「B9 3.5クーペ/1」のうちの1台である。

1983年5月、まずはBMWの「635CSi」として生産されたこの個体は、BMW本社にほど近いミュンヘンの南西に位置する小村、今ではアルピナの聖地として世界に名を知らしめたブッフローエに到着し、アルピナ本社ファクトリーによってB9 3.5クーペ/1に改造された。それが当時のアルピナ社に許されていた、唯一の生産方法だったからである。

B9 3.5/1ということで、排気量は3430cc。このM30型ストレート6エンジンにマーレ社製の鍛造ピストンやアップグレードされたカムシャフト、研磨などの改良を施したシリンダーヘッドを装着し、最高出力は自然吸気ながら245psを達成するに至った。

また、ビルシュタイン製サスペンションを取り付けるなど、シャシーについてもさまざまな技術的モディファイが施されている。

そして「アルパイン・ホワイト」のエクステリアには、アルピナの特徴的な矢絣模様のグラフィックが施されたかたわら、インテリアにはアルピナ独特のストライプ柄のレカロ製スポーツシートが新車時代から装備されている。

アルピナ社独自の生産番号「190」が与えられている

E28系5シリーズをベースとしたB9 3.5となっても、アルピナ社独自の生産番号「190」が与えられ、1984年3月12日にドイツで初登録されたこの個体は、2000年代初頭までフランクフルト北部に生息していたと考えられている。

その後、ノルウェーを拠点とする現オーナーが2012年1月にこのB9 3.5クーペ/1を入手し、翌年3月に登録。そののち、12年にわたる所有期間においても定期的にメンテナンスが行われ、カタログ掲載時のオドメーターは16万118kmを指している。

トランクリッド裏側に「シンデレラフィット」する純正ツールキット、グローブボックスの懐中電灯、純正のマニュアル/オーナーガイド、そして「アルピナクラシック」発行の納車確認書を含むヒストリーファイルが付属している。

RMサザビーズ欧州本社は「模範的なドライバーズカーである、この魅力的なアルピナB9 3.5クーペ/1は最高速度240km/hを誇り、次のオーナーが真のコニサー(通人)であることを即座に知らしめることでしょう」というPRフレーズを添えて、7万5000ユーロ~10万ユーロ(当時のレートで約1207万円〜1610万円)という、昨今のヤングタイマー市場におけるBMWアルピナ人気を実感させるようなエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが2024年11月23日に行われた競売では、出品サイドが思っていたほどにはビッド(入札)が伸びなかったようで、結局終わってみれば6万9000ユーロ。日本円に換算すると約1110万円という、落札者にとってはリーズナブル、現オーナーにとってはちょっと不本意な価格で落札されることになったのだ。

とはいえ、このハンマープライスを含むアルピナ製E24クーペの相場は、現況におけるBMW M635i/M6の相場価格よりもわずかながら高めのようで、しかも昨今のヤングタイマー人気と生来の希少性を思えば、遠くない将来にさらなる評価アップもあり得ると考えるのである。

>>>Gクラスを特集したメルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.222を読みたい人はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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