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『007』のボンドカーにアルピナ版があった! BMW「Z8」ベースの「ロードスターV8」は本家よりもお高い6500万円で落札!

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

現在のマーケットにおける相場価格はBMW版のZ8を上回る?

BMWアルピナ ロードスターV8は予定どおり北米マーケットに正規導入され、当初は全世界の市場に向けて総計333台の限定生産が予定されていたが、北米BMWとアルピナ社との協議の結果、555台に加増。そのうち450台が米国に輸出され、残りはヨーロッパや日本で販売された。

このほどRMサザビーズ「Dubai」オークションに出品されたのは291台目のロードスターV8で、生産日は2003年4月10日。アラブ首長国連邦の著名なロイヤルファミリーが新車でオーダーしたことで知られている個体である。

欧州市場向けの左ハンドル仕様で、エクステリアは「ヘルロート(Hellrot)」と名づけられたBMW純正のレッド。インテリアはブラックの上質なナッパレザーで設えられ、シートのボルスターにはレッドが差し色されている。また、アロイホイールは20インチ径のアルピナ「ダイナミック」ホイールが装着されている。

2004年4月24日に初登録されて以来、このロードスターV8は20年以上にわたって、オークション出品者でもある現オーナーのコレクションにくわえられてきた。

目の肥えたカー・コレクションに加えるにふさわしい1台

そして、その間には「BMW Abu Dhabi Motors」による継続的なメンテナンスの恩恵を受けており、サービスブックには2022年8月9日付の最新のスタンプが押されている。この時点で、この個体のオドメーターはわずか301kmを示していた。さらに驚くべきことには、今回のオークション公式カタログを作成するまでに、さらに1kmしか距離を伸ばしておらず、その時点では302kmを指していた。

また、専用のハードトップ、オーナーガイド、純正のツールキット、ボディカバーが付属することになっていた。

なお、今回のRMサザビーズ「Dubai」オークションは、舞台はドバイながら売買はすべて米ドル建て。そして公式カタログでは「新車同様のコンディションで維持されてきた、この上なくスタイリッシュなBMWアルピナ ロードスターV8は、目の肥えたカー・コレクションに加えるにふさわしい1台」というPRフレーズとともに、35万ドル~45万ドルというエスティメート(推定落札価格)が設定された。

そして2024年末、12月1日に行われた競売ではビッド(入札)が順調に進んだようで、終わってみれば41万ドル。現在のレートで日本円に換算すれば、約6500万円で無事落札されることになった。

今回オークション出品車は走行距離の極端に少ない、限りなく新車に近い特異な1台ゆえに40万ドルオーバーを達成したが、もとより昨今のBMWアルピナ ロードスターV8の販売実績を見ると、30万ドルを下回るような事例はあまりないようだ。

かたやBMW本家のZ8が20万ドル~25万ドル(邦貨換算約3000万円〜3750万円)あたりで推移している現況から判断すると、やはり公称では5703台が生産されたといわれるBMW Z8よりも、その約1割、555台のみのBMWアルピナ・ロードスターV8のほうが希少価値の面で有利になる……、というのが現在のマーケットの判断と思われよう。

>>BMWの専門誌「BMW LIFE2」はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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