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英国で日本未発売のホンダ「S800」がたった250万円弱で落札! しかし日本でもっとお高い個体を購入したほうが安心である理由とは?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: iconicauctioneers

やっぱりエスを探すなら日本国内が安心……?

英国アイコニック・オークショネアーズ社は、2011年に「シルヴァーストーン・オークション」として創業。2023年8月に現在の屋号に改組して再スタートを図ったという、自動車オークションビジネス界では比較的新しい勢力ともいうべきオークション会社である。

同社では、ほぼ隔月のペースでオンライン形式のクラシックカー/コレクターズカーのオークションを開催するほか、英国各地のカーショーやクラシックカーレースなどのオフィシャルオークションも拝命。さらに自社開催の対面型オークションなども積極的に展開している。

そんなアイコニック社が今回の「The Classic Sale at the Warwickshire Event Centre」に出品した、この輝く小さなクーペは「S800マーク2」として正規にイギリスへと輸出された右ハンドル車で、初登録は1969年2月6日との記録が残っている。

残念なことに、英国で新車として初登録されて以降の来歴は特記されていないものの、オークションの公式カタログ作成時点でオドメーターは4万6355 マイル(約7万4000km)を記している。

ただしこの距離計については、半世紀以上に及ぶ車齢を思えば1周、ないしは2周回っている可能性も充分にあり得るのだが、それでも数年前に素晴らしい水準に再仕上げされ、現オーナーの所有期間中については、必要に応じて定期的にメンテナンスされているとのことである。

そして今回のオンライン入札に先立ち、アイコニック・オークショネアーズ社は「クラシカルなウルフレース(Wolfrace)社製アロイホイールを履いた、この小さなホンダは素晴らしいコンディションで、よく走り、再び意図したように楽しむ準備ができています」というPRフレーズとともに1万2000ポンド~1万5000ポンド(邦貨換算約234万円〜約292万円)という、かなりリーズナブルにも映るエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが、この控えめな価格設定を行ったにもかかわらずビッド(入札)は思ったように伸びず、終わってみればエスティメート下限をようやくクリアする1万2600英ポンド。現時点のレートで日本円に換算すれば約246万円という、日本国内におけるS800クーペの相場価格も下回りそうなほどの安価なプライスで落札されることになったのだ。

とはいえ、たとえこのオークション結果と同等の条件のもと、海外でS800マーク2 クーペを入手できたとしても、もしも日本に持ち帰るならば、新型コロナ禍以降は大幅に高騰している輸送費や、日本での車検・登録にまつわる費用も必要となり、それらを合算すれば日本国内のスペシャルショップでS800クーペを購入するのと変わらないか、おそらくはそれ以上になってしまう可能性が高い。

日本国内向けの純正「エスハチ」には存在しないという「S800M」+「クーペ」の正規モデルであることに価値を見出す、ごく少数のコレクター気質な上級エンスーを除けば、やはりタマ数も比較的豊富な日本で探すのが安心と思われるのだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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