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真冬恒例の「フローズン・チンクエチェント」が完成! でも動き出すとほっかほっかの車内です【週刊チンクエチェントVol.50】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)

エンジンが温まれば意外と効く!

シンプル過ぎる構造だけど、でもエンジンが温まってさえくれれば、このヒーター、意外と効く。フロントのシート左右の間にあるサイドブレーキの付け根あたりからも温かい空気が──これはイヤでも──入ってきて、車内はかなり温まる。エンジンをそれなりに回して走ってるときには、ときとして“暑いなぁ……”なんて感じることもあるくらい。前述のとおり温度調整をする装置などついてないから、暑いときには三角窓をちょっと開けたりサイドウインドウを薄く開けたりして調整してるのだけど、それで全然オッケ。意外や快適に走れるのだ。

ちなみに寒いときのエンジン始動には、もちろんチョークも必須。ドライバーズシートとパッセンジャーズシートの間にある2本のレバー左側がチョークレバーで、それを一番上まで引き上げて、アクセルペダルで燃料を少し送り込んでから、右側のスターターレバーを引き上げる、という感じだ。

で、これはチンク乗りひとりひとりが違うのかもしれないけど、僕の場合はエンジンに火が入ったらアクセルペダルで回転を調整しながらチョークレバーを戻し、そこから先の暖機は、これまたダッシュボード下側の中央あたりにあるハンドスロットルにオマカセ、だ。リングに指を入れて引っ張るとアクセルペダルを踏むのと同じように回転が上がるので、適度な回転をキープできる位置で固定して、しばらくアイドリングさせる。暖機が済んだら戻せばいい。

 ……忘れてた。ヒーターをONにして運転席と助手席の膝奥のダイヤルで蓋を閉めると、温まった空気はフロントガラスのすぐ下にあるスリットから流れ出てウインドウにあたり、曇りを──それなりにだけど──防いでくれる。つまり、デフロスターとしても機能する、というわけだ。昔の人の知恵って凄いよなー、と思う。

窓の汚れはオイルだった!?

で、実は『ティーポ』の撮影のときに現場でウインドウがクリアになってないところがあることに気づき、ウエスでぬぐってみたら、そこに付着してたのはエンジンオイルだった。どこかから噴出してエンジンルームを漂ってるオイルが、温風にのってウインドウにペッタリ……ということか。

エンジンのオーバーホールが決まったことにあらためてホッとしながら、撮影終了後の夕方、富士山のシルエットがあまりに美しかったので、ゴブジ号のシルエットと一緒に写真に収めることにした。それを初日の出っぽく加工して──正確には知人に加工してもらって──SNSなどでの新年の挨拶に使おうと考えたのだ。

でも、いざとなるとゴブジ号の足もとが頭の中をチラついて、気分はまったく乗らず。写真はストレージの中に埋もれていくことになり、この連載の今回の記事のために写真を見つくろうときに発見しなければ永遠に忘れ去られた1葉となっていたことだろう(画像ギャラリーに収録)。

……黒くてうすらデカいワンボックスのあんぽんたんドライバー、許せん! な気分がまた蘇ってきた。誰だかわからないけど。

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■協力:チンクエチェント博物館
https://museo500.com

■「週刊チンクエチェント」連載記事一覧はこちら

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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