ロンドンの名門オークションにカウンタックが降臨
創業1793年の名門オークショネア「ボナムズ」社では、世界各地で自社開催のオークションを開催していますが、もちろん本拠であるロンドン・メイフェア地区のニュー・ボンドストリートに構えたショールームでも、ハウスオークションを大々的に開催しています。昨2024年12月12日に挙行された、クルマとオートモビリアのオークション「The Bond Street Sale Important Collectors’ Motor Cars and Automobilia」は、ロット数こそ多くはなかったものの、その内容は地元でのオークションということでかなりのハイレベルでした。今回はその中からランボルギーニ「カウンタック5000S(LP500S)」を紹介します。
排ガス対策を施すためにスケールアップしたカウンタックとは?
スーパーカーという定義の開祖ともいわれる伝説のランボルギーニ「ミウラ」。その跡目を継ぐクルマを創る。それが極めて困難なミッションとなることは、誰の目にも明らかだった。だからその後継モデルが1960年代最高のスーパーカーを凌駕する存在となったことは、奇跡にも近いことだったといえよう。
1971年のジュネーヴ・ショーでセンセーションを巻き起こした「カウンタック」は、ミウラと同様、カロッツェリア・ベルトーネのマルチェロ・ガンディーニによってスタイリングされた。英国の老舗自動車誌『Motor』は、こう評した。「まるで別の惑星で生まれたかのようなその姿は、壮観のひとことに尽きる」
とはいえ、1971年のジュネーブでベルトーネ・カウンタックのオリジナルを見た人のなかで、これを 「ショーカー」以外の何ものでもないと思った人は少なくなかったに違いあるまい。その奇妙なエンジン/トランスミッションの構成はいうに及ばず、シザース式の跳ね上げドアやSF感のあるコクピット、劣悪な後方視界などは、現実的な市販車になり得るとは思われなかったのだ。
それでもランボルギーニは「実用性に欠ける」という批判を無視し、ショーデビューから2年以上の遅れをとったものの、細部を変更して生産化にこぎつけた。
シャシーバランスに優れたスーパースポーツになっていた
ランボルギーニの4カムV12エンジンはカウンタックにも受け継がれたものの、今回は縦置きに搭載。最適な重量配分を実現するため、デザイナーのパオロ・スタンツァーニは5速変速機をエンジンの前方、シートの間に配置し、サンプ内を通るシャフトで駆動するディファレンシャルを後方に配置した。その結果、シフト操作は横置きトランスミッションを複雑なリンケージで操作するミウラよりも格段に楽しくなり、シャシーバランスについても非常に優れたスーパースポーツとなった。
こうして1974年に生産が開始されたカウンタックは、改良されたスペースフレームシャシーと、プロトタイプの4971ccから標準の3929ccエンジンに変更されていた。そして最初のアップグレードは1978年に「LP400S」として具現化されることになる。
LP400Sにおける主要な変更点はシャシーとサスペンションだったが、外観でもリアのエアロフォイルが装備され、ほとんどの顧客がこれを選択したという。
しかし、ランボルギーニに限らず多くのスーパーカーにとって最大の市場であったはずのアメリカは、排ガス対策のためカウンタックには門戸を閉ざしていた。それでも1982年に、エミッションコントロールを意図して排気量を4754ccにアップした5000S(LP500S)が登場したことにより、ようやく北米マーケットにも正規導入されることになった。