居心地の良さが求められるクルマのトレンドにふさわしい仕上がり
サイズ的には全長5000mm×全幅2000mm×全高1300mm、ホイールベース3000mm超あたりといったところで、じつは驚くほど大きいモデルではなかった。実物もたしかに大きく見えるのだが、それは全幅に対して全高が低く、さらに異様なまでにキャビンが後ろにあったからだろう。1960年代初頭にジャガー「Eタイプ」を初めて見た当時の人たちが同じような違和感を持ったのかどうか。タイムマシンがあれば確かめてみたいところだ。
外観以上にインテリアもぶっ飛んでいた。なるほど、未来のゴージャスなラウンジを見ているような気分で、自動車に「居心地の良さ」が求められる時代にふさわしい仕上がりだ。
市販モデルの第1弾は4ドアGTになるとすでに発表されており、偽装されたプロトタイプが走行テストを行う写真も公式にリークされている。注目すべきはタイプ00の内外装の特徴がかなり再現されているという情報があったこと。フロントマスクやリア、インテリアなどにタイプ00のデザインテーマを感じることができるらしい。おそらく、タイプ00のAピラーをさらに前に出して、コンベンショナルな4ドアとしたモデル、になるだろう。
昔ながらのジャガーファンは相手にしない?
注目の価格は、やはり2000万円以上だ。そうしなければビジネスが成り立たないことは冒頭に述べた通り。最終的には「ドイツプレミアムより上、ベントレーより下」あたりに定着したいのだと、とある首脳は語った。
問題は、古くからスポーツカーとしてのジャガーを愛してきたクルマ好きが英国や日本といった先進国市場にはまだまだ多いことだろう。そこはレンジローバーとは少し事情が違っている。レンジローバーのクラシックモデルがもてはやされるようになったのは、現行モデルの価格が上昇し人気を博してからのこと。もちろんコアなファンは昔からいたけれど、オフローダーとスポーツカーとでは内容がまるで違う。それにレンジローバーにはSUVブームというマーケットの後押しがあったことも幸いした。
昔ながらのジャガーファンは相手にしない。タイプ00はそういう宣言にも聞こえてくる。一方でJLRはクラシックセンターを充実するなどヘリテージビジネスにも力を入れている。要するにそこはバランス感覚のある戦略を取ろう、ということだろう。古いファンも決して見限ったわけじゃない。ヘリテージの重要さを知っているのは他でもない、彼ら自身なのだから。
まずは市販モデルの登場を待とうではないか。ジャガーの新時代を告げるパフォーマンスを有していることを期待して。真の批評は市販モデルをテストしてからでも遅くない。