R32型スカイラインが街道レーサー仕様に
東京オートサロン2025で、もっとも注目を集めたブースのひとつがリバティーウォークです。年々拡大しつつあるリバティーウォークのブースには、何台ものデモカーが展示されていましたが、なかでもとくに注目を集めたのがランボルギーニ「ミウラ」と共に驚かせたのが日産「スカイライン タイプM(R32型)」をベースに製作した『街道★ワークスR32スカイライン』でした。
昭和世代のクルマ好きには馴染み深い「族」スタイル
その発想力の豊かさと改造の自由をとことん楽しむ独創的なスタイルによってファンのド肝を抜くリバティーウォーク。2025年のオートサロンにおいても数多くのカスタムカーを展示し話題を振り舞き輝いていたが、ランボルギーニ「ミウラ」と共にアンヴェールされたもう1台の注目マシンは、昭和世代のクルマ好きには馴染み深い「族」スタイルが原点の「街道★ワークスR32スカイライン」だった。
リバティーウォークのワークススタイルのルーツは、日本のツーリングカーレースから派生した1970年代・1980年代の族車の改造スタイルである。当時の走り屋族は、プロダクションレースマシンに憧れ、それに似せる形で自らの愛車の改造に励んだ。
「BOUSOU-ZOKU-STYLE」といえばリバティーウォーク
極太タイヤを履かせるための手法としてフェンダーをカットしてオーバーフェンダーを装着させ、シャコタンツライチで改造車であることを主張。この方法で仕上げたクルマは、とにかくカッコ良かった。そのカッコよさをスーパーカーに当てはめ、日本が誇る「族」の改造スタイルを海外向けに発信、瞬く間に全世界に広めることに成功したのがリバティーウォーク加藤会長の手腕と着眼点のよさにあった。今では「BOUSOU-ZOKU-STYLE」といえばリバティーウォークと全世界のカスタムカーフリークが認めている。
ビス止めオーバーフェンダー+弁当箱シルエットで仕上げた
今回披露された「街道★ワークスR32スカイライン」は、そんな自由な改造を楽しんだ時代を忘れてほしくないという意味も含め発表された1台。以前に加藤会長は次のようにコメントしている。
「自分たちが先輩から教わったように、何がカッコよくて何がカッコ悪いのかを後世に伝えることが、自分自身のモチベーションを高める原動力になっているのは間違いない。自分がいいと思うことを貫いてやっているだけ。好きなことを自由にやって、それが世の中に認知されるくらい浸透していったら最高でしょ。幸い、日本ではあたり前だった族文化も海外ではまったく知られていなかった。チューニング先進国なんて言われる日本だけど、まだ見たことのない改造文化がある。まだこんなスタイルがあったのか! パッと見たときの大胆かつクールな暴走族スタイルは、海外に出ることで大きく開花する。なぜなら、自分にとって1番カッコ良いスタイルだと思っているからなんだ」
カスタムにおけるクールさの基準はいろいろあっていい。その方が面白くなる。リバティーウォーク加藤会長は、そうした発想から、あえて今回、ビス止めオーバーフェンダー+弁当箱シルエットのR32スカイラインを発表したわけだ。
フロントのデッパに加えてロングノーズを組み合わせる
スカイラインといえばリバティーウォークでは、以前にもトミカ・スカイラインをモチーフにER34スカイラインをベースのマシンを製作している。あのマシンはモータースポーツにおけるグループ5のカテゴリーに合わせたスーパーシルエットのスタイルを纏っていたが、この「街道★ワークスR32スカイライン」は「THE族」といわんばかりの外装パーツを装着。特にフロントのデッパに加えてロングノーズの組み合わせは、1980年代ならではの族文化を象徴するポイントにもなっている。
そして、カラーリングもレーシングラインに加えてボンネットには星ではなく「BOUSOU-ZOKU-STYLE」のBに星を交えた遊び心も面白い。いわゆる族車としての王道と呼ばれる組み合わせではあるが、リバティーウォーク加藤会長プロデュースとなると、大きく印象が変わり、このスタイルもカッコ良いマシンの新基準として我々の中に記憶されることだろう。きっと、こんなクルマはじめて見たというカスタム好きにとっては、逆に斬新なフォルムのクルマに見えるはずだ。
加藤会長が海外で日本の伝統的なカスタム文化を伝えようとしたように、今度は、昔のカスタム文化を知らない若い世代に向けて、新たな価値観とその目を養うべく、この街道レーサースタイルを今回発表したのかもしれない。