懐かしの「大川ソアラ」がオートサロンに登場
東京オートサロン2025のトラストブースにおいて「懐かしいぃ〜」という言葉が飛び交う中に置かれていたのはトヨタ「ソアラ」(10系)でした。トラスト ソアラといえば、ターボチューン創成期と言われた1980年代に茨城県にあった日本自動車研究所こと通称「谷田部」で開催された最高速アタックのことを思い出す、懐かしの1台です。
目指せ300キロをテーマに極限の競い合いが展開
その後に目覚ましい発展を遂げ、パワーウォーズ化の原点となった舞台には、当時、トラスト、HKS、RE雨宮、RS山本、トライアルといったメーカー、ショップが最速をかけてしのぎを削っていた。
そのステージでは、チューナー同士の意地の張り合い、「どっちが速い?」「目指せ300km/h」をテーマに極限の競い合いが展開されていた。その中にあって、トラスト創設者のひとりであった大川光一氏が、個人所有のチューンド・ソアラでテストラン! エンジン仕様は、自らチューニングした大川スペシャル6Mツインターボ仕様だったが、エアコン、オーディオが付くハイソなストリートカーにもかかわらず、そのクルマは、本気で作り込んだワークスマシンより先に300Km/hオーバーを達成した。これが最高速アタックにおけるチューンドマシン史の中で伝説として語り継がれている。
今回、トラストブースに展示されていたソアラは、そんな大川ソアラをリスペクトして製作。だからこそ、会場に訪れたチューニングフリークからも「懐かしい」という声が聞こえてきたわけだ。
当時遊んでいた世代の心に刺さる1台として仕上げていた
今どきのカスタムならば、ボディにも加工を加えてワイドボディ化やフェンダー叩き出し等の処理を施すのがフツーだが、今回は「大川ソアラよ再び」がテーマなので、あえて純正ストックボディのままをキープし、唯一、トラストカラーのアレンジのみ加えた。
また、エンジンについても、オリジナルユニットから載せ換えることなく、6M-Gのままトラスト製パーツを使ってチューニング。昔、チューニングカーを乗り回し遊んでいた世代のオーナーにとっても心に刺さる1台として仕上げていた。
速さと乗りやすさを両立したチューニングに
搭載しているエンジンスペックは、当時の仕様は排気量2759㏄にアリアス製鍛造ピストンを組み込むTD06ツインターボ仕様だったが、このクルマでは、純正よりも1mmオーバーサイズのOS技研製φ84鍛造ピストンと強化コンロッドを組んだ3.1L仕様(3024cc)。タービンはワンオフエキマニを介してセットするTD05H-18Gタービンを2基使ったツインターボ仕様で、このあたりは大川ソアラに合わせたスタイルといえる。
ただ、旧型エンジンながらも、ぎくしゃくするような走りではなく、快適に楽しめる1台として仕上げるべく、電動スロットルを導入し、LINKコンピュータによるフルコン制御に変更することで速さと乗りやすさの両方を図っている点にも注目してもらいたい。
また、ソアラ好きなら気づくと思うが、インテリアがオールブラックになっているのもこだわり。じつは10系のソアラにはブラック内装が無いため、今回はシートもリクライニングバケットの表皮をブラックに張り替え、ルーフやドアパネルもブラックアルカンターラ仕立てのリメイクを施していた。
この10ソアラ、細かくボディを見ていけば、1980年代を代表するトラストのエンジンオイルTEFTUNE(テフチューン)をはじめ、GRACER(グレーサー)やGREX(グレックス)等のブランドステッカーも貼られていて、こういうところでも、当時を知る者にとって懐かしさを感じさせてくれる1台として仕上げられていた。