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フェラーリの2024年の耐久レースを振り返る! 責任者が語る「もっとも悔やんでいること」とは? 2025年の活躍にも注目です

ル・マン24時間レースでフェラーリ 499Pの50号車は激しいバトルを展開し、トップフィニッシュを果たした

アントネッロ・コレッタ氏が2024年の耐久レースを振り返る

2024年は、フェラーリがル・マン24時間レースで2年連続優勝を達成しました。さらに、デイトナ24時間レースのGTDプロクラスで「296 GT3」が歴史的な勝利を収め、シーズンは最高のスタートを切りました。フェラーリのグローバル・エンデュランス部門およびコルセ・クリエンティの責任者であるアントネッロ・コレッタ氏が2024年の耐久レースの結果を振り返ります。

ル・マン24時間レースで2年連続総合優勝を飾る

──FIA世界耐久選手権(WEC)のトップクラスでの2シーズン目をどのように評価しますか?

アントネッロ・コレッタ氏(以下コレッタ):優勝回数は少なかったものの、素晴らしい結果を残すことができました。2024年は参戦チームの数が増えただけでなく、その質も向上しました。その中で、ニールセン、ミゲル・モリーナ、アントニオ・フオコの3人がマニュファクチャラーズランキングで3位、ドライバーズランキングで2位に入賞したことは、本当に素晴らしい成果です。我々はチームの成長を目の当たりにしてきましたが、困難な時期においても、これらのドライバーの成長はとくに顕著なものでした。

──フェラーリはル・マン24時間レースの頂点に君臨しましたね。

コレッタ:その結果は素晴らしいものでした。2023年の100周年記念大会での勝利に続き、今回は「499P」の50号車のクルーによってル・マンでの勝利を再び獲得しました。技術的な観点から見ると、アップデートなしの同じマシンで2年連続優勝を果たしたことで、ル・マンでの喜びは2倍になりました。

51号車のチームメイト、ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィも表彰台の3位に立ったことを忘れてはならない出来事です。耐久レースの表彰台に6人のドライバーが立ったことを考えると、これは素晴らしい成果といえます。

──伝統通り、非常にエキサイティングなレースでした。

コレッタ:コース上で展開された勝利を分析すると、それはとても過酷なレースだったといえるでしょう。フィニッシュラインを最初に越えた4チームは、わずか38秒差でのゴールだったのですから。

最も多くの周回をリードし、合計83周を走ったにもかかわらず、完走できなかった83番車のクルーは残念な結果となりました。それでも、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)では見事なカムバックを果たし、総合1位を獲得しました。これはまさに、クルーの努力が実を結んだ結果なのです。

296 GT3がわずか2シーズンで100勝達成

──FIA世界耐久選手権で、499Pはどこで最高のパフォーマンスを発揮しましたか?

コレッタ:我々のマシンは、第2戦イモラ、第3戦スパ、第6戦オースティン、そして第8戦バーレーンでも非常に高い競争力がありましたが、コースによっては苦戦を強いられたところもありました。我々は見事なカムバックを果たし、赤旗により苦境に立たされたスパ6時間レースも「道徳的な」勝者であったと考えています。イモラでのアクシデントは残念でした。チームのミスにより、1位、2位、3位でスタートしたにもかかわらず、ファンに大きな喜びを届けるチャンスを逃してしまいました。

──FIA世界耐久選手権では、296 LMGT3がデビューしました。初年度をどのように評価していますか?

コレッタ:富士6時間レースとバーレーン8時間レースで296 LMGT3が優勝しました。このような結果を達成できたことを非常に嬉しく思っています。これは素晴らしいマシン、準備万端のチーム、そしてドライバーたちがもたらした成果です。

──市販車をベースにしたマシンで、デイトナでのシーズンがスタートしました。2024年に296 GT3が2シーズンで100勝を達成したことは、どれほど意義深いことでしょうか。

コレッタ:10年ぶりにデイトナ24時間レースで再び勝利を収めたことは、私たちに誇りをもたらしました。GTDプロクラスでドライバーとともに走った296 GT3の勝利は、数多くの一流のライバルと競い合いながら、その実力を示したレースの末に訪れたものでした。

296 GT3のシーズンは最高の形ではじまり、好調を維持しました。スパ24時間レースでは、ピットレーンで止まったマシンのために貴重な数秒を失い、レース終了まで残り1時間を切ったところで優勝のチャンスを失うという惜しい結果となりました。もし初優勝が達成できていれば、モータースポーツの歴史に消えることのない1ページを刻むことができたはずです。デイトナ、ル・マン、スパを同じ年に制覇するという伝説的な3冠を達成することもできたはずだったのです。

2024年シーズン最大の悔いとは

──フェラーリのオフィシャル・ドライバーたちが数々のレースや選手権で重要な役割を果たした今シーズンも、いよいよ幕を閉じます。

コレッタ:彼らはフェラーリをサーキットで走らせるだけでなく、ブランドを世界レベルで代表する卓越したプロフェッショナルです。フェラーリとドライバーたちとの関係は特別なもので、彼らの活躍とともに達成した結果に満足しています。来シーズンも引き続き6人のドライバーたちをオフィシャルドライバーとして起用することも決定しています。

耐久レースで我々とともに重要な役割を果たした他のドライバーたちにも感謝の意を表したいと思います。アレッシオ・ロベラは、急速に主要ドライバーのひとりとしての地位を確立しつつあり、ダビデ・リゴンとロイック・セラは今までの経験を生かして激しい戦いを繰り広げ、素晴らしい結果を残してくれました。

若手ドライバーたちも明らかに成長しています。リル・ワドゥは、スーパーGTを経験し、トーマス・ノイバウアーは、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパで一流のライバルたちと競い合うチャンスを得ました。

──今シーズン最大の悔いはありますか?

コレッタ:スパ24時間レースでのアクシデントと、FIA世界耐久選手権のイモラ6時間レースでタイヤ交換を行うタイミングを誤り、その代償を払うことになったことです。しかし、チームはつねにミスから学び、さらに強くなってコースに戻ってくると確信しています。

2025年の活動にも期待

──進化するプログラムの中でも、フェラーリ・ハイパークラブは際立っており、顧客にユニークな体験を提供していますね。

コレッタ:フェラーリ・ハイパークラブ専用ラウンジ「カーサ・フェラーリ」は、特別な体験を提供するものです。この素晴らしい施設は、サーキット内の重要なブレーキングゾーンに位置しています。ここから顧客はドライバーたちを応援し、拍手を送ることができます。今後も顧客のために多くのアクティビティを企画しています。

──2025年の目標を教えてください。

コレッタ:マニュファクチャラーズ選手権の獲得を目指し、競争力を維持することです。この場を借りて、耐久レース活動における成功の鍵を握るパートナー、そして多大な支援をいただいているスポンサーに感謝申し上げます。2025年には再びサーキットに戻り、さらなる歴史的偉業を目指して戦うことで、そのご厚意に報いたいと思います。

AMWノミカタ

今回のインタビューの最後に語られている「フェラーリ・ハイパークラブ」とは、「ラ フェラーリ」、「FXX-K」、「F40」、「F50」、「エンツォ・フェラーリ」などの特定のモデルを所有するオーナーを対象とした特別なクラブ。ル・マン24時間レースなどではコースのベストポジションに特別に設えられた「カーサ・フェラーリ」で期間中いつでもレースを観戦できるほか、レースに関連した専用トラックデイやドライビングセッションなどで自身のクルマをドライブする特別な機会も提供される組織である。

フェラーリ・ハイパークラブの設立の目的は、フェラーリがこのクラブを通じてレース会場においても単なるクルマの販売以上の特別な体験や価値を提供し、顧客満足度を高めることと、顧客が「フェラーリファミリー」の一員であるという感覚を持てるようにするロイヤリティの醸成にあるという。どのブランドも同じようなサービスを提供するが、コミュニティの中に明確なヒエラルキーを作る方法はフェラーリならではのユニークな試みである。

2024年はル・マン24時間レース、デイトナ24時間レースで優勝し、素晴らしい年となった。2025年もフェラーリファミリーを喜ばせる熱いレースを期待したい。

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