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なぜ日産「フェアレディZ NISMO」は往年の「240ZG」をオマージュ? デザイナーにこだわりの数々を直撃インタビュー

日産 フェアレディZ NISMO:240ZGをイメージしたのは懐古主義というわけではなく、NISMOの名前を冠するにふさわしい空力性能を実現するための手段だった

フェアレディZ NISMOのデザイナーは語る

西日本最大級のカスタマイズカーイベント「大阪オートメッセ2025(OAM)」が2025年27日(金)~9日(日)の3日間、インテックス大阪を会場に開催。出展社数が351社、展示されるカスタム車両は合計630台にものぼったOAM会場で、日産「フェアレディZ NISMO」のデザイナーに話を聞くことができました。

RZ34のデザイン完了時からNISMOのイメージを開始

現在、何かと話題となっている日産自動車だが、大阪オートメッセ2025の会場では多くのファンが日産ブースに足を運び、展示車両を熱心にチェックする姿が多く見受けられた。

そんな日産ブースの中央には日産を象徴するモデルのひとつである「GT-R」の究極進化版である「GT-R NISMO」が展示されていたが、その前には2022年に登場した新型「フェアレディZ」と、そのNISMOモデルが並んで展示されており、日産らしい3台が一堂に会する場となっていたのが印象的だった。

そんな日産を代表するモデルのひとつであるフェアレディZ NISMOのデザインを担当した森田充儀さんに、NISMOならではのポイントを解説していただく機会に恵まれたので、その内容をお伝えしたい。

新型フェアレディZのNISMOモデルは大多数の人にその登場を期待されていたモデルであることは間違いないが、じつはNISMOモデルの登場が決定するはるか前、RZ34型フェアレディZのデザインがひと段落したタイミングで、すでに森田さんはNISMOモデルのイメージ図を作り上げていたそうだ。

社内的にも「新型が出たからには次はNISMOだよね」という雰囲気はなんとなく漂っていたというが、森田さんが先行してイメージ図を作成していたことで、その予定が既定路線に乗ったといっても過言ではないだろう。

240ZGのイメージは懐古主義にあらず

そんな新型フェアレディZ NISMOの最初のデザインモチーフとなったのは、初代フェアレディZに途中から追加された高性能モデルである「240ZG」だった。

240ZGといえば、海外向けに存在していた2.4Lエンジンを搭載し、空力性能を高めるために鼻先を可能な限り伸ばした通称「Gノーズ」(正式名称はエアロダイナ・ノーズ)やヘッドランプカバーを装着したモデルで、当時としては最高クラスの空力性能を持ち合わせていたモデルだ。

ただ240ZGをイメージしたのは懐古主義というわけではなく、NISMOの名前を冠するにふさわしい空力性能を実現するための手段であった。

しかし最新モデルということもあってフロントの中央部には運転支援システムのレーダーが埋め込まれており、単にノーズを伸ばしてしまうとレーダーの照射範囲を覆ってしまうことになる。そして日本をはじめとする多くの国ではフロントにもナンバープレートの装着が義務付けられているため、ノーズを伸ばすとナンバープレートの台座の位置を上げなければならず、両者のバランスを考えてノーマル比+25mmほどの延長に収まっている。

なお、ノーズが伸びたことで天地方向が狭くなったフロント開口部は、横方向に広げることでノーマル以上の面積を確保。さらにメッシュ部分の厚みを極限まで薄くすることでより開口部面積を稼いでいるほか、牽引フックを差し込む部分のカバーもメッシュ部に紛れ込ませることで、一見するとどこがカバーなのか分からないような意匠となっているのもこだわりの部分なのだ。

空力性能や重量まで考慮したデザイン

サイド部もノーマルとは異なる形状を採用しており、とくにリアタイヤ周辺のデザインはあえてスッと落とし込んだ形状とすることで、リアタイヤまわりを強調し、後輪が地面を蹴りだすイメージをしやすいものとしている。

そしてリアバンパーについても当然ながら専用のデザインをまとっているわけだが、一見するとボディカラーの部分とブラックの部分で別パーツとなっているようなスタイルとなっている。しかしこれは分割はされておらず、バンパーは1本もの。それをあえて手作業でマスキングをして塗り分けているのだ。

これは分割にすると結合部分が必要となり、その分バンパー重量がかさんでしまうことを嫌っての処理であり、このあたりも走りに妥協のないNISMOならではエピソードと言えるだろう。

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ともすれば高められた出力を持つパワートレインなどばかり注目されがちなNISMOではあるが、NISMOの名前を冠するにあたってはデザインだけでも大小さまざまなこだわりの変更点が存在しており、すべてを解説していくと1日では足りないといっても大げさではないほど。

高額な価格が注目されがちなフェアレディZ NISMOではあるが、このようなこだわりの部分を紐解いていくと、決して法外な値段ではないことが分かるはず。幸運にもオーナーになれた方は、無数のこだわりの上で成り立っているモデルであることを誇りに思ってもらっていいだろう。

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