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なぜジャガー・ランドローバーは塗装工場に約125億円を投資? ネットゼロとパーソナライズされたボディカラーの注文増加にありました

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TEXT: AMW  PHOTO: Jaguar Land Rover Automotive PLC

新システムにより、年間約2250トンのCO2を削減

一方、ランドローバー「ディフェンダー」と「ディスカバリー」が生産されているニトラ工場では、2025年に1000万ポンド(約19億円)を投じた新しいユニバーサル塗装ラインの建設が開始され、完全電気式の塗装ブースと新しい電気式硬化オーブンが追加される。電気オーブンに投資することで、年間約500トンのCO2を削減することができ、ガスから低炭素で再生可能なエネルギー源に移行するという長期的な取り組みに向けた第一歩となる。

最新鋭の塗装ラインは無制限のカラーバリエーションを提供し、同工場で初めて完全なビスポーク塗装と高度なパレット機能を実現し、自動車のパーソナライゼーション需要の増加をサポートする。この移転により、同地域で120人の新規雇用が創出され、2026年には新ラインから最初のクルマが出荷される予定だ。

また、新しいスマート・オーブン・コントロール・システムは既存のオペレーションを最適化する。新しい熱交換器も設置され、塗装工場の排ガスから熱を回収。そして冷暖房水の生産に回すことでシステム効率を向上させ、年間約2250トンのCO2を削減する。また、この交換器によってJLRは年間約75万ポンド(約1億5000万円)の節約が可能となる。

JLRでは、クルマをパーソナライズしたいという顧客の増加の増加に対応し、施設を拡張してブランド全体で数千もの塗装オプションを提供する準備を進めているが、「Reimagine(リイマジン)戦略」のもと可能な限り持続可能で効率的な方法で実現する予定である。

AMWノミカタ

最高品質と耐久性を実現するために必要な複雑でエネルギー集約的な加熱・硬化プロセスを繰り返す塗装工場は、自動車製造による排出ガス発生の最大の要因となっており、全体で排出ガスの80%を占めている。ネットゼロを目指すJLRにとって、塗装工場の改善は必ず手を付けなくては行けない最重要課題となっていたのであろう。

そして驚くべきことに具体的な数は公表されていないが、パーソナライズされた塗装の注文が2022年以降2倍に増えているという。近年ロールス・ロイスはビスポークに力を入れ、本社施設の拡大やビスポークオーダーを受けるためのプライベートオフィスの拡大を続けている。

BEVの導入によりその乗り味の差別化が難しくなるなか、とくにラグジュアリーブランドのビスポークプログラムは新たなブランドの個性の表現方法として、そして大きな収益の柱として再び注目されはじめている。

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