アヴェンタドール以前のランボルギーニを「過去」にする
ランボルギーニ「アヴェンタドール」の後継となるV12プラグインハイブリッドスーパースポーツ「レヴエルト」を、東京から京都まで長距離試乗しました。その想像を超えたパフォーマンスは、アヴェンタドール以前を全て「カウンタック」にしてしまうほどです。
街中では寛容で実用的なクルマに
オーバー1000psのV12プラグインハイブリッドスーパースポーツ。まずはランボルギーニのフラッグシップモデルとして申し分のない“見出し”だろう。同時に電動化によるパフォーマンスの向上は、我々の想像を超えていた。
はっきりと言っておこう。レヴエルトの性能はアヴェンタドール以前を全て「カウンタック」にしてしまった、と。そしておそらく、レヴエルトと姉妹車の関係にある「テメラリオ」は、「ウラカン」を置き去りにする、どころかアヴェンタドールさえ遠い過去の性能だと思わせることになるだろう!
ランボルギーニは全く次元の違うパフォーマンス領域へと踏み込んでいる。事実上、第三の創業を迎えたようなものだ。電動化時代を迎えていっそうの高みを走り始めるテクニカルアドバンテージをモノにしたと言っていい。
シザードアを開けて乗り込む。座ってしまえば十分なスペース、というのはカウンタック以来の伝統だが、レヴエルトはさらに広い。タイトな圧迫感がまるでない。緊張感に乏しい。着座位置は低く、まるで路上に座っているかのようだから視線もそうとうに低い。
バッテリー駆動で静かに走り出した途端、身体と車体とが目に見えぬコードでつながったような錯覚に見舞われた。
アヴェンタドールに比べると乗り心地が段違いに良くなった
チッタモード=EVとして走る。街中ではフロント2モーターのeアクスルによる前輪バッテリー駆動だ。それでも走行フィールにFFを駆っているような違和感はない。重量配分と駆動制御の妙なのだろう。電動スーパーカーかくありき、といった感覚だ。
街中での静かな走りはやはり、嬉しい。心のなかで周辺の住民たちに謝りながらエンジンを掛ける必要がないからだ(深夜の帰宅も然り)。
交通量の多い幹線道路に入ってからドライブモードをストラーダに変えた。大きなサウンドを響かせて新開発のV12エンジンが目覚める。電動で出発したので、エンジンはまるで暖まっていない。走りながらしばらく暖機運転になる。あったまる頃には高速道路入り口だろう。
アヴェンタドールに比べると乗り心地が段違いに良くなった。前後をeアクスル化するにあたって、レヴエルトはよりコンベンショナルなマルチリンクサスペンションを採用している。さらにより軽量で高剛性のボディ骨格、バッテリーの最適配置なども功を奏して、ウラカン EVOより心地よい。
さらに驚いたのが前輪の軽やかな動きだ。交差点も片手でスイスイ曲がっていける。自由自在に動かせるという感覚はアヴェンタドールにはなかった。車体の重さを感じることもない。ボディサイズも気にならない。これらは立ち上がりの良いモータートルクのおかげだろう。街中ではとても寛容で実用的なクルマになっていた。そして、暖まったとしても街中ではエンジンの出番などほとんどないだろう。