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どうしてBEVが充実している日産の業績が振るわないのか?「サクラ」の販売の伸び悩みが囁かれる昨今、どうすれば好転する?【Key’s note】

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TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: AMW

BEVの導入にはまだ課題が残っている

BYDは日本市場に参入してまだ日が浅いにもかかわらず、もはやBEVの代名詞になりつつあります。2024年は前年比54%増の2223台を登録しました。トヨタは30%減で2038台。首位の日産は44%減で3万749台です。BYDの猛追を意識しないわけにはいきませんね。

もっとも、日産の3万749台は突出した数字です。日産は早くからBEVに参入しており、モデルバリエーションも豊かです。フラッグシップ「アリア」やパイオニアたる「リーフ」、そして話題の「サクラ」など、豊かな品揃えが善戦の理由ですね。

世界販売首位のトヨタでさえBEVは「bZ4X」のみです。2040年に内燃機関からの決別を宣言したホンダにおいては、軽商用車の「N-VAN」にしか設定がありません。BEVは脱炭素時代の救世主として目されていますが、そのBEVに積極的な日産が、BEVラインアップの薄いトヨタやホンダに業績で劣っているのは皮肉です。

たしかに脱炭素時代の救世主ではありますが、消費者がBEV購入を躊躇する要因としては、充電の手間や航続距離への不安があり、とくに家庭用の充電インフラが十分に整っていない地域では、BEVの導入にはまだ課題が残っています。それまではハイブリッドで時代を繋ぐ必要があるのでしょう。

その点で、ハイブリッドを北米に投入していない等の、日産の施策の曖昧さが、最強のBEVメーカーでありながら業績不振を招いている理由なのでしょう。

ライフスタイルを振り返ればサクラはベストの相棒かも?

ともあれ、日産サクラには大きな可能性があります。搭載するバッテリーは20kWhです。ひとたびバッテリーを満充電すれば、180kmの航続可能距離を誇ります。ギリギリまで走行するのは不安ですが、平均的日本人の1日の移動距離100kmは余裕でクリアします。

たしかに大容量バッテリーを搭載するBEVと比較すれば航続可能距離に差がありますが、もし仮に日本人の平均的な1日の移動距離である100km以下で生活しているのであれば、無駄な大きく質量のかさむバッテリーを積んで走っているようなもの。と考えることもできるのです。自らのライフスタイルを振り返れば、サクラのようなコンパクトBEVが理想かもしれませんね。

都市部では、コンパクトカーの需要が引き続き高いため、日産サクラのような小型BEVが重要な役割を果たすのではないかと予想します。日産がサクラの価値をさらに高め、消費者に強くアピールすることができれば、再び販売が伸びる可能性があると思われますね。

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  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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