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約7400万円で落札! ポルシェ「911 カレラRS 2.7ツーリング」が高額な理由は25台のみしか作られなかったホモロゲモデルだったから

約7400万円で落札! ポルシェ「911 カレラRS 2.7ツーリング」が高額な理由は25台のみしか作られなかったホモロゲモデルだったから

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

500台はすべて完売! 生産台数を3倍に増やした

1972年の発表からわずか1カ月で、500台のモデルは全て完売。そこでポルシェは1973年7月までに、生産台数を3倍に増やす決定をする。結局911 カレラRSは、合計で1580台が生産された。その内訳はM471と呼ばれるいわゆる軽量なスポーツバーションが200台。快適性を増したツーリングの名を持つモデル(M472と呼ばれる)が1308台。そして55台のコンペティションモデル「RSR」、およびホモロゲーション用の「RSH」が17台であった。

RMサザビーズのオークションに登場した1973年のカレラRSは、1973年2月15日にラインオフした、ドイツ国内向けのRSツーリングである。完成当初は特注のガルフ・オレンジ(6161)ペイントに、黒の合成皮革張りとそれにマッチしたコーデュロイのシート・インサートが付いていた。シャシーナンバー「9113600824」、エンジンナンバー「6630822」は、マッチングしていることが付属のKardexによって確認されている。

ちなみにKardexとは、オリジナルのエンジン、トランスミッション、シャシー番号、および付属の工場アクセサリーが記載された、ファクトリーの保証カードであり、ポルシェは今、古いかつての証明書に代わるポルシェ・クラシックの技術証明書を販売している。

出品車は25台用意されたホモロゲモデルの1台だった

RMサザビーズによれば、ポルシェの公表したデータでは17台となっているホモロゲーションモデルが25台とされており、このシャシーナンバー「9113600824」は、その25台のうちの1台なのだそうだ。そして、デリバリー当初、ヘッドレスト、1対の白いフォグランプ、アンテナ、キャビンスピーカーなどが、オプションで装備されていた。

1973年3月中旬までに、ドイツのデュッセルドルフにあるシュルツ・ポルシェを通じて、最初に記録されたオーナーに販売された。1983年には、ドイツに赴任していた米軍関係者が購入し、1984年9月にアメリカに持ち帰った。そして1999年に再び所有者が変わり、外観を徹底的にレストアした。ボディパネルは全て取り外され、フロアパンは一新、トリムやガラスも新調された。アンディアルというポルシェのスペシャリストによって、エンジンやトランスミッションのリビルトが2004年にかけて行われている。

最後にエンジンが全面オーバーホールされたのは、2013年3月。2024年10月に行われたコンプレッションテストにも合格している。また、マニュアル、ツールキット、ファクトリー・ビークルデータブックのコピー、および1970年代後半まで遡るサービス請求書が付属しているという。

RMサザビーズでは、45万ドル〜55万ドル(邦貨換算約7065万円〜約8635万円)のエスティメート(推定落札価格)を掲げていた。実際の競売では、47万2500ドル(邦貨換算約7418万円)で落札された。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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