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【ドイツ最新バス事情】100%電動化を目指しミュンヘンでは2025年2月に30台の電動バスが納車…メルセデス・ベンツのEVバスが活躍中!【みどり独乙通信】

ミュンヘン市内を走るメルセデス・ベンツのハイブリッドバス

2035年に路線バスの100%電動化を目指すミュンヘン

ドイツ・ミュンヘンでは、10年後の2035年に路線バスの100%電動化を目標としています。メルセデス・ベンツを含めた3メーカーの電動バスが71台市内を走行していますが、近頃新たに30台のバスが納車されるそうです。今回は、ミュンヘンのモビリティについて紹介します。

ミュンヘン市のモビリティの原点は電気駆動

私が長く住むミュンヘンは、バス、トラム、地下鉄(U-Bahn)、在来線(S-Bahn)が公共交通機関で、これらに乗れば大体どこでも行くことができます。基本的にママチャリで走れる範囲内で生活している私は、年に数回しかこれらに乗ることがなく、初めて行く土地に公共交通機関で行くとなると結構緊張しますし、乗り間違えをしないかドキドキします。

今回は、ミュンヘンのバスについて紹介しましょう。全区間ではありませんが、深夜や早朝は本数が少ないものの24時間営業をしていますので、日本のように終電直前に猛ダッシュをする必要はありません。しかし、氷点下の寒空の下で次のバスを1時間待つというのも結構厳しいものがありますよね。

じつはミュンヘン市内を走るバスが、少しずつ電動化されているのです。私がミュンヘンに住みはじめた頃には、まだまだディーゼル車が多く走っていた記憶があります。そこで、ミュンヘン市のモビリティの部署の方に、モビリティについて話を伺いました。

ミュンヘンではすでに1895年にトラムが電気で稼働しているのが、現在のさまざまなモビリティの原点とといえるでしょう。現在はトラムと地下鉄は80%電動化されているそうです。そして、市内の公共交通機関の要のひとつであるバスの100%電動化へ向けているのだとか。

現在はピーク時には500台以上のバスが市内を走っており、将来的には化石燃料に頼らずグリーン電力で稼働する予定だといいます。性能、信頼性、経済性の面でバス車両には非常に高い要求が突き付けられるとあり、市としても大きなチャレンジでもあるそうです。

約5時間のフル充電で約250キロ走行が可能

実質的にどれだけ電動化が進むのか、という課題は、テクノロジーの進化にも左右されるそうです。電気自動車も同じですが、車両を長く利用しようとするとバッテリーの交換や車両の耐久性ということも課題のひとつだそうです。ドイツでも電気自動車の高額なバッテリー交換費用がよく話題に上がりますので、バスに搭載するさらに大容量のバッテリーとなると、量販車とは比較にならない程の高額になるでしょうね。

環境に優しいだけではなく、静音ですし、エンジンや燃料タンク、トランスミッション等のパーツが電動バスには不要となります。その分車内の座席が増やせるので、より多くの乗客を輸送できますし、ステップがなくなった分、乗り降りがしやすくなったという利点もあります。しかし、日本の路線バスのように扉が閉まる際や発車する際等に音が鳴らないので、聴覚障害者の方やお年寄りやお子さん等はとくに注意が必要かもしれません。

ミュンヘンでは2035年を目標に路線バスを100%電動化すべく、少しずつバスの入れ替えが行われています。ミュンヘン市では連結バスも多く走っており、満員のときもあります。乗用車と違ってバスはかなり大きなバッテリーを搭載できますが、いったい1回の充電でどれだけ走れるのでしょう?

「市内で走行しているバスは、676kWで約250kmの走行が可能です」

とのこと。路線バスですので、せいぜい時速は50km/h前後で走行しているのだと思います。350kmほどは走れると勝手に想像していました。充電には約5時間もかかるそうです。

新たに30台の電動バスが納車予定

モビリティの部署の方によると、日々進化するテクノロジーを理解すべく、つねに世界中のさまざまなバス製造メーカーとコンタクトを取って情報交換やテストの機会を得ているとのことです。また、スムーズなバス運行を行うべく、交通監視システムの整備やバスレーンの整備なども、モビリティ改革には非常に重要なポイントとなります。

ミュンヘンは日本のような地震がほぼないので(過去には何度か体感するような地震があったそうですが……)、自然災害で停電することはどないと予想されます。そのような要因もあり、バスの全電動化を目指す目標を掲げられるのでしょうね。

ミュンヘン市内で電動バスが増えた印象がある一方で、実際にはまだディーゼルバスが大半を占めているようです。完全電動化を果たすまでの間はディーゼルハイブリッドバスが運行されており、その数は約300台。2008年からこのディーゼルハイブリッドバスが導入されているそうです。

現在はメルセデス・ベンツ、オランダのEbusco、ミュンヘンに本社を置くMANの3メーカーの電動バスが導入されていて、71台の電動バスが稼働中。2025年2月の第3週目には新たに30台の電動バスが納車されるそうです。電動の連結バスはまだ数が少ないようですが、見かけるとちょっと嬉しいですね。

ちなみにバスやトラックなどの大型車両を製造するMANは地元だけに、たまに開発車両が走っています。同じくシュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ本社近辺でも、何度かカモフラージュ模様の開発車両のバスを見かけてめちゃくちゃテンションが上がりました。

>>>ドイツ在住池ノ内みどりさんのクルマにまつわるコラムはこちら

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