ミュンヘン市内では約5200台のレンタルサイクルが活躍中
ドイツ・ミュンヘン在住の池ノ内みどりさんは欧州のモータースポーツ取材時にはクルマで移動していますが、普段の自宅周辺の移動では、ママチャリを使っています。日本では自転車や電動キックボードのレンタルが普及しつつありますが、ドイツはどうでしょうか? ミュンヘンの自転車事情をお伝えします。
自転車道の工事で車道を削る場合も
すっきりと晴れる日が非常に少なく、1日中薄暗い日が続くドイツの冬です。少しでも晴れると、外にテラス席があるカフェや公園は日光浴をする人々であふれます。気温が低くてもとにかく日光を浴びたくなるようですね。晴れても曇っていても私の毎日のアシはママチャリなので、日々ミュンヘンの街を疾走しています。
ミュンヘンは以前から自転車レーンが整備されていますが、数年前からさらに自転車レーンの拡張や整備の工事で、街中が工事現場だらけです。日本、とくに東京は災害用や区画整理等で立ち退きをして道路を拡張していますが、ミュンヘンの場合はそうもいかず車道を削る箇所もあります。
車道2車線を1車線分つぶして自転車レーンを拡大し、そこそこ日中の交通量の多い道路の車線を減らすのですから、クルマの運転手側として考えると渋滞がひどくなるのではないかと思ってしまいます。
一方で自転車乗りの立場から見ると、以前は自転車が1台ちょうど通れるくらいの狭い自転車道路だったところが広がるのはとても快適です。ただ、自転車レーンを広くしたからといって自転車事故が減るとは考えられないのです。いくら自転車道が広く整備されても赤信号を守らない自転車や電動キックボードが減っているようには感じられません。堂々と赤信号で道路を渡っているので、まずはそちらの取り締まりを強化した方が良いような気もします。
福利厚生が少ないドイツの現状とは
自転車のみならず、電動キックボードや自動車などさまざまなモビリティの改革を進めているミュンヘン市。市内の少し外れや郊外にパーク&ライド用の駐車場を建設して「市内になるべく自動車で通勤しないように」とアピールもしており、多くの方々がそれを利用しています。
しかし、公共交通機関のチケットが毎年のように値上がりしているので、時間や金額の面で果たしてどちらが割に合うのかと考えてしまうでしょうね。ドイツの会社員、契約社員、パートやアルバイトの方で雇用主から通勤用の定期券や交通費を支給してもらっている方は非常に少ないと思います。
日本だと正社員以外の方も交通費の支給は当然ですけれど、ドイツは日本のように福利厚生が充実していません。通勤用の定期券やガソリン代は自費で支払い、後にご自身で確定申告をして少し還付されるようです。