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アルピーヌの電動ホットハッチに乗ってわかった「BEVでも楽しめる繊細なドライビングの未来」…新型「A290」は「A110」に通じる感覚

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TEXT: 南陽一浩(NANYO Kazuhiro)  PHOTO: Renault S.A.

  • アルピーヌ A290:フロア下には52kWhの駆動用バッテリーを搭載、航続距離は約380km(WLTCモード)となる
  • アルピーヌ A290:往年のラリーカーをイメージとしたというX字型のモチーフ
  • アルピーヌ A290:急速充電の給電許容量は、ルノー 5 E-テックのスペックからすると、110kWまでは許容するのではと予想される
  • アルピーヌ A290:A290はアルピーヌを特徴付けるパフォーマンス、俊敏性、ライトウェイトという3つを備えた電動スポーツモデルと謳われる
  • アルピーヌ A290:ルノーグループのEV専用プラットフォーム「AmpRスモール」をベースにトレッドを拡大
  • アルピーヌ A290:ナッパレザーを用いたシートにはA290のプレートも備わる
  • アルピーヌ A290:ホイールベースが2530mmと長いため、後席も空間が確保されている
  • アルピーヌ A290:日本導入は2026年予定。本国ではまず1955台限定のA290 GTSプルミエール・エディションが登場、車両価格は4万6200ユーロ(約760万円)
  • アルピーヌ A290:運転席まわりのデザインは先進的イメージ。BEVらしく機能をディスプレイに集約し、スイッチ類を減らしたスタイルとなる
  • アルピーヌ A290:ルノーグループのEV専用プラットフォーム「AmpRスモール」をベースにトレッドを拡大
  • アルピーヌ A290:モーターはフロントを駆動。トップグレードの「A290 GTS」で220ps(160kW)/300Nmを発揮する

見事に近未来のホットハッチを現出せしめた

お手頃さと特別感、気前のいいパフォーマンスを備える“ホットハッチ”を、BEVで再現した「アルピーヌ A290」にスペイン・マヨルカ島で試乗してきました。「A110」にも通じるその走りには、あらゆる答えが詰まっています。

電動化はフロントヘビーからホットハッチを開放する

ホットハッチと聞いて、どれどれと脊髄反射的にふり向いてしまうのは、昭和晩期〜平成初期のクルマ好きヤングの性ではある。BEV(バッテリー電気自動車)に対する心理的な距離や壁が何となくあるのも、お手頃さと特別感、そして気前のいいパフォーマンスという、三拍子揃った原体験が強烈だったためといえる。そんなエクスペリエンスを微積分ライクに煎じ詰めれば、実用車プラスアルファのちょい足し感でも、こまっしゃくれた佇まいにフィールグッドな走り、といったエレメントに集約できるのではないだろうか。

これを今日的な要件とインダストリアル体制、つまり法規と産業構造の中でBEVとして再現せしめた1台が、アルピーヌ「A290」なのだ。スペイン・マヨルカ島で行われた試乗会に参加して、まずもって驚かされたのは、プロダクト開発リーダーとローンチ&製品サイクル担当マネージャーにエンジニアらまで、見たところ30代が中心であろう若いチームであること。

シャシーは「スポール・アルピーヌ」と呼ばれる

一方で、開発ドライバーとして一連の「A110」を手がけたダヴィッド・プラシュ氏など馴染みの顔もサーキット試乗の場で解説を担当していて、若いアイデアと熟練の経験がリソースとして、新生アルピーヌと旧ルノー・スポールの間で巧みに溶け合っていることが察せられた。

車体自体は、欧州で同時期に発売されたルノー「5(サンク) E-テック」と同じ「AmpRスモール」に基づくが、開発チームはA290の方はよりアジリティ&ファンに最適化された「スケートボード・プラットフォーム」で、バッテリー容量もひとまず共通の52Kwhで、フロア下に収められてボディ剛性を兼ねる点もまったく同じ。1823mmの全幅と2534mmのホイールベースはわずかながら5 E-テックよりワイドで短く、横ノリ系の電動プラットフォームといえる。

このシャシーは「スポール・アルピーヌ」と呼ばれ、フロントのサブフレームからホイールハブはアルミニウム製の専用仕立て。フロント側のサスペンションにはダンパー・イン・ダンパー、そしてリア側はマルチリンク式が奢られ、組み合わされるホイール&タイヤは19インチ、ミシュランと専用開発によるパイロットスポーツS5だ。A110と同じブレンボのモノブロック4キャリパーをフロントに装備し、重量は1479kg(EU発表値)となる。

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