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トヨタ「スポーツ800」を見知らぬ人が突然くれた…10年不動のまま保管して7年かけてついに路上復帰! サビ落としは「坐禅を組む心境」とはいかに?

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TEXT: 酒寄俊幸(SAKAYORI Toshiyuki/gasgraphix)  PHOTO: 酒寄俊幸(ガスグラフィックス)

  • トヨタ スポーツ800:小柄でもロングノーズショットデッキのスタイルは、やはりスポーツカーらしい
  • トヨタ スポーツ800:ボディはプロによる鈑金修理で、依頼を断られるレベルだったとは思えない美しい完成度
  • トヨタ スポーツ800:ボディの前後に、ヤマハのバイク用パフォーマンスダンパーを装着している。ヤマハが独自に開発した技術で、コーナリングのスムーズ化、衝撃吸収と走行ノイズ低減、揺れの抑制など、静粛性、操縦安定性、乗り心地などを向上させてくれる
  • トヨタ スポーツ800:エンジンはオーナーの小柳さん自らがオーバーホールを実施。空冷であることも、比較的手を付けやすい理由だそうだ
  • トヨタ スポーツ800:基本的にノーマル状態を保持
  • トヨタ スポーツ800:象徴的なヘッドレスト無しの赤いシートも復元
  • トヨタ スポーツ800:ホイールも含めて純正状態を限りなくキープして修理されている
  • トヨタ スポーツ800:当時最先端の空力を意識したボディが美しい
  • 1965年式のトヨタス ポーツ800のオーナーの小柳さんは「トヨタスポーツ800還暦祭 九州大会」の世話人を務めた

クルマにはまるきっかけは人それぞれ

カーライフというものは、オーナーの数だけさまざまなストーリーが存在します。今回紹介する小柳さんは、知り合いのクルマ屋さんで眠っていたトヨタ「スポーツ800」をひょんなことから譲り受けたことが、クルマ趣味の深みにハマるきっかけでした。事故からの復活。突然の出会いから始まったヨタハチを修理する楽しみ。旧車に興味がなかった小柳さんがとことんハマってしまったその理由とは?

はじめは気乗りしなかった旧車の世界

2024年10月27日に熊本県阿蘇市阿蘇門前商店街で開催された「トヨタスポーツ800還暦祭 九州大会」の世話人としてとりまとめていたのが、トヨタ「スポーツ800」のオーナーの小柳さんだ。参加者の皆さんとの連絡やさまざまな取り決めや当日の進行など、愛車談義に華を咲かせる余裕もなかったのでは? と思うほど、裏方に徹していたのが印象的だった。

「私がヨタハチを手に入れたきっかけは、知り合いのクルマ屋さんから“車検代だけでいいから引き取ってくれ”と相談されたことがはじまりです。正直、ヨタハチに対してそこまで思い入れが強かったわけではないですし、古いクルマの修理は手間がかかりそうと思っていました。気乗りしないまま、なんとなく購入してしまったのです」

しかし、小柳さんの心の雲行きが変わるまでに、時間は一切必要なかった。その時の気持ちを小柳さんはこう語ってくれている。

「エンジンを始動させるためにキャブレターにガソリンをさしてキュルキュルとスターターを回した瞬間に、このヨタハチにハマってしまったのです」

入手からたった4カ月で事故に遭遇

こうして始まった小柳さんとヨタハチのカーライフは、たった4カ月で暗礁に乗り上げる。理由は、玉突き事故だ。ボロボロになってしまった愛車だったが、そこから1年ほどの時間をかけて修理を敢行。その嬉しさから、ヨタハチの沼にますますハマっていく小柳さんに、ある出会いが待ち構えていた。

「私がヨタハチで街中を走っているときに、見ず知らずの方に追い駆けられて、交差点で声をかけられたのです。整備や修理、塗装仕上げのことなど、まるで尋問されるように根掘り葉掘り聞かれました。なんだろうと思っていたら、突然その方が“うちにある1台、あげるからおいで!”と言うのです」

その個体は、事故でボロボロの状態で書類もなかった。それでもありがたい話だったので、小柳さんは部品取り車として譲り受けて保管していた。その期間はおよそ10年に及ぶという。ところがある日、その前オーナーから連絡があった。大晦日に届いた吉報は、なんと「書類を見つけた」という知らせだった。

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