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はじめて「SRSエアバッグ」を実用化したメルセデス・ベンツはなぜ特許を無償公開した?「技術革新による安全性」の歴史を紐解きます

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: Mercedes-Benz AG/妻谷コレクション(TSUMATANI Collection)

EV時代にもSRSエアバッグの進化は続いている

さらなる安全性を獲得するため、ステアリングだけでなく、室内のあらゆる場所にSRSエアバッグを設置し、その形状は多様化した。1987年9月に量産車Sクラス/W126の助手席SRSエアバッグを世界で最初に搭載(当初はグローブボックス内)。とくに、1992年に運転席SRSエアバッグがメルセデス・ベンツの全乗用車に標準装備され、1994年には助手席SRSエアバッグも標準装備された。

1995年にSRSサイドエアバッグが「Eクラス/W210」で装備され、1998年のSRSウインドウエアバッグが広範な保護システムとして追加装備。2001年、側面衝突の対策として、頭部・胸部を保護するSRSヘッドソラックス・サイドバッグが「SLクラス」に装備された。

2002年のEクラス/W211に腰椎や骨盤を保護するSRSペルビスバッグを装備、2009年にSRSニーエアバッグ、2013年に胸部/骨盤SRSサイドバッグ、SRSクッションバッグ、非常にコンパクトなインフレーターブルベルトSRSエアバッグが続いて装備。

2005年のSクラス/W221に装備された「アダプティブエアバッグ」のガス発生器は、事故の程度に応じて2段階で展開され、オールラウンドで乗員を保護する安全哲学の「プロセーフ(PRO-SAFE)」の一部を形成(計8つのエアバッグ)。2010年の実験安全車「ESF2009」にはエアバッグの新システムとしてブレーキバッグが装備され、車両のアンダーボディに収容され衝突の直前に作動し路面との摩擦コーティングで減速させた。

2020年のSクラス/W223には、後部座席の乗員保護の革新的なSRSリアエアバッグが装備された。とくに、この新しいSRSリアエアバッグは、チューブラ構造を採用した全く新しいインフレーションコンセプトを採用し、初めてアウターリアシートのフロントエアバッグを展開するように設計された。深刻な正面衝突が発生した場合、これらのシートベルトで拘束されている乗員の頭と首への負荷を大幅に軽減する。

最新のラグジュアリークラス初の電気自動車「EQS」にも、全方位の幅広いSRSエアバッグの安全システムを装備している。このようにSRSエアバッグの進化にも「安全性」に対するメルセデス・ベンツの冷めることのない情熱と、たゆまぬ努力をみることができる。

* * *

メルセデス・ベンツはSRSエアバッグに限らず、自動車の安全性に関する特許を全自動車メーカーに無償で公開している。この事実は全自動車の安全性の向上を願ってのことであるが、メルセデス・ベンツの安全性に対する深い思いが伝わってくる。

メルセデス・ベンツは自動車を発明したメーカーとして、その責任と誇りにおいて、絶えず「技術革新による安全性」を追求し、しかも決して満足することなく、絶えず挑戦し続けている。

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  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。
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