スポーツVIPの要素をアルファードで再現
やるからにはトコトンやり尽くす。そして、誰が見ても思わず「スゲェー」と声をあげてしまうような振り切った仕様を目指す。それがカスタマイズというものならば、ここに登場するトヨタ「アルファード」(30型)は、その本質を極めたキングオブカスタムカーと言えそうな1台です。
外装キットにオリジナル加工を施して装着
トヨタ「アルファード」(30型)のオーナーである“ジン”さんは、スポーツVIPならではのリメイクをミニバンに置き換えてカスタムを楽しんでいた。そのサポート役としてオーナーの意見を尊重し、さまざまなアドバイスをしながら作り込みに工夫を加えたのは、VIP系カスタムで有名な兵庫県のトータルカープロデュースヴォヤージュだった。もともと、スポーツVIPは得意なジャンルでもあったため、その引き出しの多さからオーナーと話し合い、最終的な仕様を決めていったということだった。
装着しているパーツについては、スポーツVIPといえばエイムゲインが定番ということで、この外装キットにオリジナル加工を施して装着。フロントバンパーは開口部のフィン+メッシュ処理を施し、センターリップを強調させると同時にAラインを作り出すことでスポーツVIPならではのリメイク処理を施す。また、このバンパーはボディ同色にするのではなく、あえてインナーパーツの一部をガンメタで塗り分けた点にも注目してもらいたいとオーナーは話す。
ワーク マイスターL1を履かせるためにフェンダーを加工
側面については、ド迫力のオーバーフェンダーのインパクトが凄まじい。スポーツVIP路線ならばオーバーフェンダーは当たり前ということで、その出幅はフロント6cm、リア12cmの設定だ。この超ワイドなオーバーフェンダーに合わせるホイールはワーク マイスターL1で、そのサイズはフロント19×10.5J-48、リア19×12.5J-88という強烈すぎるオフセットであった。
オーナーである“ジン”さんに詳しく話をうかがうと、じつはこのホイールを履かせるためにフェンダーを加工したということだった。それにしても、このマイナスオフセットっぷりは凄い。とくにリアホイールのリム幅−88には驚いてしまう。
この極太タイヤ&ホイールを履かせるために足まわりはエアサスペンションに交換しているが、リアはハの字にするべくアクスル等にも加工を施して、パッと見の凄さを追求している。
見る角度によって変化するボディカラーにも注目
また、エクステリアではヘッドライトのリメイク、テールランプにフルLED化もポイントだが、一番気になるのは、見る角度によって変化するボディカラーだ。これは茶色とゴールドをかけ合わせて作ったオリジナル調合のカッパーアプリコットゴールドという色で、その特徴は偏光パール塗料を使っている点にある。これを使うと、光が当たると屈折して幻想的な色を出せるということだった。
そして、インテリアもオーナーが大好きな赤黒でアレンジし、リアトランクには乗車定員を確保しながら巨大なスピーカーをマウントする処理も素晴らしい仕上げ。リアバンパーの処理など、マニアックにスポーツVIPであることを主張するスタイルは、知る人ぞ知る手間をかけたリメイクである。
オーナーが「リンファード」と名付けた理由は?
このクルマにオーナーは「リンファード」と名付けている。「“ジン”ファード」ではなく、なぜリンファードなのかを訊ねると、それは給油口に描いたエアブラシにヒントがあった。この絵は“ジン”さんの娘さんで“リン”ちゃんということ。だから、愛車の名をリンファードとしたとのことであった。
パッと見た時の印象やイジッている内容も含めてスポーツVIPカーとしてわかりやすい作りの“ジン”さんの30リンファード。しっかり公道仕様として構造変更をかけて公認を取得する等、オーナーとしても学ぶべき点が多い1台だった。