供給終了部品の復刻や供給継続部品の「現代化」に期待
神奈川県パシフィコ横浜で開催されたノスタルジック2デイズ(2025年2月22日〜23日)に出展していたTOYOTA GAZOO Racingは近年、スポーティなオールド・モデルの復刻パーツを続々ラインアップするなど旧車文化を支えてきました。今回はTGRブースを紹介します。
懐かしの4台を展示していたTGRブース
自動車メーカーとして世界のトップを駆け続けているトヨタ自動車のスポーツカーの開発から販売までを手がけるとともに、世界耐久選手権(WEC)やSUPER GTシリーズからグラスルーツのレースやラリーをサポートするなど、モータースポーツに力を入れてきたTOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)。ブースには、1985年式のトヨタ「スプリンタートレノ」(AE86)と、1992年式のトヨタ「スープラ」(JZA70)の2台を出展していた。
ただしスープラの方はTGRがVintage Club by KINTO(KINTO)とネッツトヨタ富山の協業として、ネッツトヨタ富山傘下のGR Garage富山新庄がレストアを手がけた個体で、TGRオリジナルの出展としてはスプリンタートレノの1台のみとなる。
業界におけるTGRの立ち位置からすると少し物足りない気もしたのだが、隣り合ったKINTOやネッツトヨタ富山のブースと一体化しており、そちらに出展されたKINTOの1998年式トヨタ「チェイサー」(JZX100)や、ネッツトヨタ富山の1977年式トヨタ「チェイサー SGツーリング」(MX41)もあわせて考えるなら、やはりTGRの立ち位置にふさわしい出展規模であると納得できるだろう。KINTOとネッツトヨタ富山、それぞれのブースに展示された2台も含めて、展示車両を紹介していこう。
モータースポーツで活躍したAE86
まずは旧車ブームの大きな牽引役となった1台であるAE86型スプリンタートレノから。軽量コンパクトなボディ/シャシーに、ひとまわり排気量が大きくて高出力のエンジンを搭載するのは古今東西、ハイパフォーマンス・モデルを製作する上での常套手段。
1970年にフルモデルチェンジを受けて2代目に進化したカローラ/スプリンター・シリーズに1974年に追加設定された「カローラレビン/スプリンタートレノ」はその好例で、1.2L~1.4Lクラスのボディに1.6Lツインカムの2T-Gエンジンを搭載したホットモデル。ベースモデルの最高出力が68ps(1200デラックス)~95ps(1400SL)だったのに対して115ps(プレミアムガソリン仕様。レギュラーガソリン仕様は110ps)と大きくパワーアップ。レースやラリーで活躍し型式名のTE27、もしくは単に「27(ニーナナ)」と呼ばれて人気が高まり、シリーズをけん引するヒット商品となった。
その後継モデルとして1983年に登場したのがAE86もしくは「ハチロク(86)」と呼ばれて前作以上に大ヒットとなったカローラレビン/スプリンタートレノ。今から思えば随分と軽量コンパクトだったボディに新世代ツインカムの4A-Gエンジンを搭載し、やはりレースやラリーで大活躍。また漫画『頭文字(イニシャル)D』のヒットとも相まって息の長い高人気モデルとなった。