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バブル期のトヨタ初代「サイノス」を平成生まれがなぜ購入? 三菱「FTO」にマツダ「ロードスター」と乗り継いだオーナーが「友達以上恋人未満」を選んだ理由とは

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 近藤浩之(KONDO Hiroyuki)

  • トヨタ 初代 サイノス:1991年から1995年にかけて生産された「EL40型」と呼ばれる初代モデル
  • トヨタ 初代 サイノス:ベースとなったのはトヨタのロワークラスを担っていた、ターセル/コルサ/カローラII
  • トヨタ 初代 サイノス:「北米の女性秘書がプライベートのアシにするようなお洒落なクルマ」──そんなイメージで企画された小型の2ドア・ノッチバック・クーペ
  • トヨタ 初代 サイノス:マルチリフレクターヘッドランプを装備
  • トヨタ 初代 サイノス:兄弟車と一部のボディパーツを共有しながら新しいスタイルが奢られた
  • トヨタ 初代 サイノス:タイヤサイズは175/65R14
  • トヨタ 初代 サイノス:ドアバイザーを装着
  • トヨタ 初代 サイノス:リアスポイラーにはLEDストップランプが埋め込まれている
  • トヨタ 初代 サイノス:α(アルファ)とβ(ベータ)という2種類のグレードが存在していたが、この個体は上位モデルのβ
  • トヨタ 初代 サイノス:1.5Lの直列4気筒DOHCエンジンを搭載
  • トヨタ 初代 サイノス:この個体はブリッツの車高調を装着していた
  • トヨタ 初代 サイノス:適度なスポーティ感で垢抜けたデザインのシート
  • トヨタ 初代 サイノス:速度計は180km/hまで刻まれる
  • トヨタ 初代 サイノス:センターには平成初期を想起させるオーディオがセットされていた
  • トヨタ 初代 サイノス:トランスミッションは5速MT
  • トヨタ 初代 サイノス:カーペットにも「CYNOS」のレタリング
  • トヨタ 初代 サイノス:後席のカーペットにも「CYNOS」の文字
  • トヨタ 初代 サイノス:短時間なら大人も乗せられる後席
  • トヨタ 初代 サイノス:ベースとなったのはトヨタのロワークラスを担っていた、ターセル/コルサ/カローラII
  • トヨタ 初代 サイノス:1993年式で、オーナーの清水 聡さんも同じ年生まれ

クルマもオーナーも1993年生まれ

昨今では「クルマ好きといえば年寄りばかり、若者はクルマに興味を持たない」などと語られることも多いですが、恒例の東京オートサロンや大阪オートメッセなどのイベントには、学生などの若者や子ども連れのファミリー層も数多く来場し、またヒストリックカーのイベントなどでも若いオーナーを見かけることは決して珍しくはありません。今回紹介するトヨタ「サイノス」乗りの清水 聡さんもまた、1993年生まれの「ヤングタイマー乗り」でした。

バブル生まれのお洒落なクーペ

撮影現場に現れたのはトヨタ「サイノス」。これが清水 聡さんの愛車だ。1993年式というから、1991年から1995年にかけて生産された「EL40型」と呼ばれる初代サイノスの、マイナーチェンジ後のモデルである。

「北米の女性秘書がプライベートのアシにするようなお洒落なクルマ」──そんなイメージで企画された小型の2ドア・ノッチバック・クーペで、ベースとなったのはトヨタのロワークラスを担っていた「ターセル/コルサ/カローラII」だ。クルマのそのもののキャラクター設定はもちろん、「友達以上恋人未満」という当時のCMキャッチコピーまでもが、いかにもバブル景気当時の時代の空気を感じさせる。

初代サイノスがデビューした頃、1980年代末から1990年代初頭にかけて生まれた国産車を思いつくままに列記すれば、日産R32型「スカイラインGT-R」にZ32型「フェアレディZ」、ホンダ「NSX」に「ビート」、ユーノス「ロードスター」にアンフィニ「RX-7」、三菱「GTO」にスズキ「カプチーノ」と、今なお高い人気と知名度を誇るスポーツカーや高性能GTが居並ぶ。

「古いクルマに乗るなら今のうち」と考える清水さんだが、それらバブル期に生まれた錚々たる同世代の「旧車」たちの中で、あえてトヨタ サイノスを手に入れたのは何故だろうか。

祖父の4代目コルサを借りて乗っていた

「もともとクルマは好きだったので、18歳になってすぐにマニュアル免許を取りました。で、最初に買ったのが三菱 FTOでした。その次に手に入れたのはNBロードスターです」

と、愛車歴を聞けば王道ヤングタイマー・正調スポーツ&GT路線。もともと硬派な路線からスタートしつつも、それらとはいささかテイストが異なるように思える現在のサイノスに至った、そのココロは。

「じつは昔、祖父が4代目コルサに乗っていたんですよ。自分のクルマを買う前には、よくそのコルサを借りて乗っていました。古い実用車ではありましたが、やはり現代のクルマに比べれば圧倒的に車重が軽いんで、走っていて心地いんですよね」

と、そんな祖父のクルマの思い出を反芻するうちに、清水さんはL4#型ターセル/コルサ/カローラIIにまた改めて乗ってみたいと考えるようになったのだった。

兄弟車との乗り味の違いを楽しむ

「そんなわけでL4#型コルサがずっと気になっていたのですが、そんな時に出会ったのがこのサイノスでした。いまから3年ほど前のことです。基本コンポーネントはL4と共通なので、乗り味の比較という点でも興味があって手に入れることにしました。もともとスポーツカーっぽいクルマに乗ってきたので、2シーター・クーペにも馴染みがありましたし」

サイノスには2種類のグレードが存在し、それぞれα(アルファ)とβ(ベータ)と呼ばれていたが、清水さんのサイノスは上位モデルのβである。

「カタログの数値上ではこちらの方が馬力がありますが、クルマのバランスという点からはベーシックなグレードの方が乗りやすいかもしれせんね」

と語る清水さんは、平成生まれの頼もしきクルマ好きなのである。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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