かつてカフェの看板として愛されていた原付カー
自社のロゴが入ったトラックや宅配便のデリバリーバンなど、所属する組織のコーポレートカラーをまとった「はたらくクルマ」は、「走る広告塔」としての意味合いも持っています。それは個人商店でも同様で、気の利いたカラーリングやお洒落なグラフィックで仕上げられた営業車を見ると、なんとなくそのお店が気になってしまうという経験は、クルマ好きならずとも思い当たる節があるのでは? 今回ご紹介するのは、かつて喫茶店の看板的存在として親しまれていた原付カーです。
アビーキャロットのボディにモーターとバッテリーを搭載した1人乗りEV
移動機器車両の設計・製造販売を生業とする富山県のタケオカ自動車工芸。同社は1981年に車いすユーザーが車いすごと乗車できる専用車両「BUBUシャトル」を光岡自動車と共同で開発し、原付カー・メーカーとしての第一歩を踏み出している。その後もさまざまなモデルを生み出しつつ、タケオカは今なお日本を代表する原付カー・メーカーとして盛業だ。
そんなタケオカが1999年にリリースした1人乗り電気自動車(BEV)が「ミリュー」である。これは同社の原付カー「アビーキャロット」と共通のボディに、50ccエンジンに替えてモーターとバッテリーを搭載したもので、北陸電力との共同開発によって製造・販売されたモデルだ。
カフェオレをイメージしてリペイント
ここでご紹介するのは、そのタケオカ ミリュー。
「以前から娘がアペ50に乗っていて、小さな原付カーは楽しそうだなと思っていたのが購入の動機です」
と語ってくれたのはオーナーの小川貴子さん。ちなみに「アペ」とはスクーターの「ベスパ」で知られるイタリアのピアジオ社からリリースされていた1人乗りの3輪トラック/バン。「ベスパカー」という別名でも知られている。原付カー趣味では娘さんの方が先輩というわけだ。
「このミリューを手に入れたのは2年ほど前のことです。その時はまだカフェを経営していたので、塗装屋さんにオーダーしてカフェオレをイメージしたボディカラーにしてもらい、カフェのロゴも入れてみました」
ちなみに買った当初のボディカラーはグリーンだったそうだ。