KGモーターズの小型モビリティロボット、mibot(ミボット)
広島に本社を持つKGモーターズ。まだ馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんが、「誰もが、安全に、手頃な価格で自由に移動できる世界」の実現を標榜し、2022年に設立された新進気鋭のメーカーで、同社が現在鋭意開発中なのが「mibot(ミボット)」という小型モビリティロボットです。新時代のマイクロEVのあり方とは?
従来の「原付カー」とは異なる1人乗りマイクロEV
「mibot」は、法規的にはいわゆる原付カーである。乗車定員は1人で車検や車庫証明は不要、税金も原付バイク並み。運転には普通免許が必要だが法定速度は60km/hで交差点の二段階右折も不要、というアレである。
1980年代には日本にも多くの原付カー・メーカーが存在したが現在でも盛業なのは富山のタケオカ自動車工芸のみ、というのが原付カー市場の近況。そこに新たに登場したのがKGモーターズのmibotということになるが、このmibot、メーカー自らが「原付カー」とは呼ばず「小型モビリティロボット」と呼ぶことからも、既存の原付カーという概念とはひと味異なることがうかがえる。
ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)とは
車両本体価格、税金や日々の運用コストも含めた原付カーならではの低価格を、エアコンやシートヒーターといった快適装備を備えた密閉式フルボディで実現しつつ、さらにこのこのmibotはソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)たらんとしているのである。
各国の自動車メーカーでも研究開発が進むSDVであるが、このSDVとは外部の端末(スマホなど)の双方向通信機能を使って、クルマ本体の運転支援機能や事故防止機能の改善、将来的には自動運転の精度向上などのアップデートも見据えた技術のこと。
パソコンのOSバージョンアップ的な話はすでに電脳化進歩の著しいクルマの世界でも始まっており、例えばテスラなどは無線通信を使って、ユーザーがクルマを購入した後も随時さまざまな機能をアップデートができるサービスを提供している。
KGモーターズは、単に「1人乗り・短距離移動に特化した原付カーを量産する」というだけの会社ではない。一歩進めて原付カーの分野にSDVの概念を取り入れることが、同社の目標とする「誰もが、安全に、手頃な価格で自由に移動できる世界」の実現につながるという考えで、その第一歩となるのがmibotというわけだ。
2025年3月10日、そんな野心を秘めたmibotのプレス向け説明会・試乗会が都内で開催された。当日はKGモーターズの楠 一成代表取締役、取締役の横山文洋氏、車体開発リーダーの久保昌之氏、SDV開発リーダーの上田貴之氏がそれぞれの立場から開発の経緯や現状、今後の展開などを解説。その後にクローズド・コースでの試作車両試乗が行われたわけである。