ドイツのオービス事情と注意点
春の陽気に誘われて、ドイツ・ミュンヘン在宅の池ノ内みどりさんは愛車のBMW「M240i xDriveカブリオレ」でドライブをすることに。これからの時期、ドイツでとくに注意が必要なのは、予告なしのオービスです。知らずにスピードを出してしまうと、フラッシュが瞬く瞬間を体験することに……。ドイツのオービス事情をお伝えします。
サハラ砂漠の砂が舞い降りる
厳しい冬はどこへ? 最近のミュンヘンは日中最高気温が10℃以上の日々が続き、小鳥のさえずりが聴こえてきて春のような日々で嬉しい限りです。これを執筆している今日は17.5℃もあり、久々に愛車のBMW「M240i xDriveカブリオレ」を地下ガレージから連れ出して、2025年初めて屋根を開けて近郊ドライブを楽しみました。
こんな晴天続きですが、それにともない気象予報では「サハラ砂漠からの砂が飛来する可能性があります」と報じられています。日本は中国大陸からの黄砂ですが、こちらはアフリカ大陸のサハラ砂漠から砂が飛んできます。ものすごく酷い年もあれば、砂の飛来をほとんど感じない年もあります。さて、2025年はどうなるのでしょうか。
愛車を自宅アパート前に停めていた頃には、ねちょねちょの砂に困ったものですが、数年前から近所の地下の駐車場を借りているので、その心配も減りました。その代わり、私の毎日のアシであるママチャリがねちょねちょの砂まみれにならないことを祈るばかりです。2022年の3月15日に降ったサハラ砂漠からの砂では、ミュンヘンの街中が黄土色に包まれました。
ドイツの安全取り締まり週間とは
日本では春の交通安全週間が有名ですが、ドイツでは2025年4月15日~21日にかけて「ブリッツマラソン」という期間があり、いわゆるドイツの安全取り締まり週間のようなもので、全国一斉にスピード違反が取り締まられます。ブリッツは直訳すると稲妻や電光、またカメラのストロボといった意味があり、いわゆるオービスが光ることでもあります。非常に明るく「パシャ!」っと光るものもあれば、最近ではまったく光らないものもあります。
各州によって異なりますが、私が住むバイエルン州では、事前に移動式オービスを設置する通りの名が一覧として発表されます。とくにドイツの都市部の住宅地や保育園・幼稚園・学校、自転車優先道路がある場所では30km/h規制が敷かれており、取り締まりが行われやすい区間でもあります。取り締まり区間の一覧には、学校や老人ホーム、病院など、注意すべき建物のほか事故発生率が高い区間であることも記載されており、ある意味親切ですね。
このブリッツマラソンの期間以外でも、予告なしの移動式オービスが設置されていることもありますし、常設のオービスも設置されています。日本ではかなりの速度を超過しないと光らないという話を聞いたことがありますが、ドイツでは6km/h超過で光るようです。しかし、3km/h分は許容誤差として適用されているので、うっかり少し踏んでしまうと光るため要注意です。
通称「レーダー探知機」の機器やアプリも禁止されているドイツでは、これらが検問などで警察官に発見されると、75ユーロの罰金と機器の没収が科せられます。助手席や同乗者がアプリを使用することも禁止されています。ヨーロッパでは、陸路で簡単に国境を越えることができますが、各国で違反の罰金額は大きく異なります。たとえば、私はドイツの運転免許を所有していますが、他国でスピード超過や違反をした場合、その国からドイツの自宅へ封書で届きます。
ドイツ全土で拡大するスマホ専用オービス
ドイツでは2022年、ラインラント・プファルツ州でスマートフォンを操作しながら運転した場合のスマートフォン専用オービスが試験的に90日間取り締まりを行い、その間に1268件の違反があったそうです。これから本格的にドイツ全国でスマホ専用オービスの設置が増えていくようです。
アウトバーンでは速度制限解除区間にはもちろんオービスの設置はありませんが、速度制限解除区間が終了し、130km/hや120km/h規制になると仮設オービスが設置されていることがあります。また、工事区間の60km/hや80km/h規制区間にも設置されていることがあります。ニュルブルクリンクから帰宅する前にアーデナウのガソリンスタンドに立ち寄った際、店員さんに「今日はA61号線(私が利用する路線)で移動式オービスが多く設置されているそうなので、気を付けてくださいね」と教えていただいたことがあります。おにいさん、ナイス!