W16エンジンの実力をオーナーがサーキットで体感
8LのW16クワッドターボエンジンを搭載し、1600psを発揮するブガッティのサーキット専用モデル「ボライド」のオーナー向けのイベントが2025年3月上旬、フランスのポール・リカール・サーキットで開催されました。「Feeling The Track(サーキットを感じる)」と名付けられたこのイベントの様子を紹介します。
カスタムされた特別な4台も登場
ブガッティの象徴的なW16エンジンを搭載した「ボライド」は、極限のパフォーマンスとブガッティらしい高品質を実現するモデルである。オーナー向けイベント「Feeling The Track」では、オーナーがその真価を体感し、かつてレース界で無敵であった性能を再び証明した。
フランスにあるポール・リカール・サーキットは、流麗なコーナーと高速ストレートがパフォーマンスの限界を試す理想的な舞台であり、特製「フライトケース」や専用シートフィッティングの準備が結実した瞬間であった。オーナーは、専門インストラクターのトレーニングを経て、午前中はポルシェ「911 GT3 RS」でスキルを磨き、午後は自身のボライドでその腕前を試した。
登場した4台のカスタマイズ仕様は各オーナーの個性を反映しており、1台目はブラックカーボンとルビーにゴールドリムを、2台目はブラックカーボンとブルーカーボンを融合している。3台目は漆黒のノクターン、4台目はブラックカーボンとアルジャン(シルバー)のコンビネーションで、細部に至るまでこだわりが表現されている。
サーキットに甦るブガッティの精神
この日、ブガッティ・ピロット・オフィシエル(公式テストドライバー)であるブルーノ・スペングラーとアンディ・ウォレスが同席し、オーナーにアドバイスを提供した。午後の走行セッションでは、サーキット本来の姿が現れ、オーナーは世界有数のレース開催コースで自らのスキルを試す機会を得た。
オーナーはグループごとに走行し、ラップタイムを計測しながらボライドのパフォーマンスを極限まで引き出した。走行を重ねるごとに性能に慣れ、タイムを縮める中、専門家の指導とサーキットの特性が相まって限界に近づいた。
イベントをさらに特別なものにしたのは、「エキップ・ピュール・サン」のカラーリングをまとったボライドの披露である。これは、ブガッティのモータースポーツの血統をデザインとパフォーマンスで表現する特別仕様である。「エキップ・ピュール・サン(Équipe Pur Sang)」はフランス語で「サラブレッド・チーム」を意味し、かつてエットーレ・ブガッティがヨーロッパのレースシーンを席巻したスピリットを継承するものである。ル・カステレのサーキットを駆け抜けるこのボライドは、ブガッティの競争心を現代に甦らせる象徴である。
AMWノミカタ
2020年に発表され、8L W16クアッドターボエンジンを搭載し、最高出力1850ps、0-100km/h加速は2.2秒を誇るサーキット専用モデルのボライドがようやく顧客の手にわたり、初のオーナー向けイベントが開催された。新しく公式テストドライバーとなったブルーノ・スペングラーにとっても初の仕事となる。
ボライドの力強い走りはもとより、その走る姿の美しさには惚れ惚れする。そして、なによりも驚くことはブガッティが真剣に顧客にその真のパフォーマンスを体感させようとする姿勢であり、そしてまたこれほど高価なクルマであるにもかかわらず、限界に挑戦しようとするオーナーの存在である。このようなお互いに真剣勝負で挑む体験がブランドと顧客の絆をさらに強化し、そして類まれなストーリーとして顧客のコミュニティに、そして後世に語り継がれてゆくのであろう。これは世界でたった40人しか体験できない特別な時間である。