ナリタモーターランドの「アバルトカップ」でタイムアタック!
千葉県にあるナリタモーターランドは、ヤマハが設計を担当したテクニカルなミニサーキット。そこで小気味よい排気音をあげて縁石めがけてアプローチするフィアット・アバルト「1000TC」が、こまねずみのようにコーナーをクリアしていきます。小排気量のハンデをものともせずに、ナリタモーターランドのコースを1分を切るタイムで走り抜けるオーナーに、小さなクラシックカーで走りを追求する理由を伺ってみました。
ロータス エリーゼを手放して先輩の愛車を引き継いだ
「最初の愛車はリトモ・アバルト 130TCでした。学生時代にネットオークションで見つけて20万円で購入し、普段の生活やSHCC(湘南ヒストリックカークラブ)のジムカーナに出たりしていました」
という小菅陽一郎さんは取材時45歳。ヒストリックカーの大運動会として春と秋に開催されるSHCC大磯ミーティングは、ジムカーナの聖地とも言える大磯ロングビーチで長年続いているヒストリックカーイベントである。
現在はSHCCの副会長としても同クラブの運営や他団体への協力など、高齢化の進むこの趣味世界のなか、これからを担う頼もしい若い世代である。この日2024年12月1日は、千葉県にあるナリタモーターランドで30年にわたり年4戦が開催されているタイムアタック形式の走行会「アバルトカップ」に参加していた。
「2005年から約10年、ロータス エリーゼを増車して楽しんでいたのですが、可愛がってもらっていたクラブの先輩が亡くなり、遺されていたこの1000TCを、もともとアバルトに乗っていたのも縁だと思い引き継がせてもらいました」
とのことで、先輩の愛車を引き継ぎたいと、本当は持っていたかったというエリーゼを手放して1000TCを譲り受けたという。ちなみにリトモは車検切れながらまだ持っているそうだ。
故人は、1000TCでコッパディ小海やACCRといったヒストリックカーラリーや、SHCCジムカーナも積極的に走っていたこともあり、スプリングのバネレートアップ、キャンバー角度、チューンニングエンジンにロールケージも組み込まれるなど、申し分のないモディファイが施されていた。
仕事では最先端の自動車パーツ、趣味では超アナログ車
もちろん、小菅さんも亡き先輩と同様にSHCCジムカーナやアバルトカップ、シウマイカップといったトライアル競技を1000TCで楽しんでいる。
「今年で引き継いで9年目なのですが、しっかりと手が入った個体でしたので、さらに追加で何かをやろうとは思いません。モディファイや雰囲気はそのままに、消耗したり壊れてしまった部分を直しながら維持しています」
トラブルに直面すると、前オーナーが残していたクルマへ施したメニューや整備方法などのメモ書きなど参考に整備しているという。
ちなみに小菅さんは、自動車メーカーのモータースポーツを担う関連会社に所属しており、普段は開発した最先端のパーツをパソコン上でシミュレーションするという仕事だという。ヒストリックカー趣味で必然的に付きまとうアナログな作業は本業とは真逆ゆえに、さらに充実したクルマとの生活を楽しんでいるという。
「物心のつく前からミニカーを握りしめていたそうなんですよ。仕事もその道に進むことができましたし、今の自分を作り上げてくれた根幹にあるのが、この趣味の世界だと思います。人との繋がりにおいても、かけがえのないものですね」
仕事や生活環境の変化などで以前のように毎週のようにイベントへ参加できないのが目下の悩みだというが、まだ参加したことのない各地のイベントにも行ってみたいとのこと。これからも愛車との時間を重ねて続けたいそうだ。
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2025年度のアバルトカップは、4月6日(日)のラウンド1を皮切りに、ナリタモーターランドにて4回開催の予定だ。サーキットで過ごす1日、エントリーフィーは1万2000円となっているが、半額になる学生割引もあるので、未経験の方もこの機会にぜひ楽しんでみてはいかがだろうか。気になる方は、124ssk65@gmail.comまで問い合わせていただきたい。
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