6台のアバルト 131ラリーがフィアット 131の50周年を祝福
千葉県にあるナリタ・モーターランドで年間4戦が開催されている、タイムアタック形式の走行会「アバルトカップ」。2024年の最終戦では、フィアット「131 ミラフィオーリ」の生誕50周年を祝おうと「131 アバルト ラリー」が6台も集まりました。それぞれ個性的な中から、世界ラリー選手権(WRC)で3回の総合優勝を獲得した1980年のフィアット・カラーリングを再現している奥野 優さんに話を聞いてみました。
トヨタ カローラのラリー仕様に興味を持ち、買ったのはなぜかフィアット 131
免許取得時、クルマにはあまり興味がなかったという奥野さんだが、父親の日産「バイオレット」で運転の練習に向かった碓氷峠の手前にあった「キャロッセ」というラリーショップで、競技仕様にモディファイされた2TG搭載のトヨタ「カローラ」に興味を持ったそうだ。しかし、選んだクルマはフィアット「131 ミラフィオーリ」。
「4ドアセダンでツインカムエンジンという同じパッケージ。左ハンドルに戸惑いがありましたが、少しミーハーな性格というのもあり、それで購入しました」
フィアット 131を調べていくうちに、自動車雑誌で「131 アバルト ラリー」の存在を知り、手に入れたいという思いが湧くなか、たまたま仕事で赴任していた神戸で131ラリーの話が舞い込んでくる。
「当時の通信手段といえば電話と手紙の時代で、現地からの手紙と写真を頼りに購入を決めて手付け金も払いましたが、イタリアの自動車クラブから日本への流出はNGとオーナーにお達しが出たようで、その話はキャンセルになりました」
しばらくして別のルートから131ラリーの販売車両があるという情報が届き、現車確認もそこそこに即購入を決める。
現在も愛車となっている131ラリーが日本へ上陸したのは今から37年前のこと。
「当時10年落ちの中古車ですから、あちこち傷んでいまして。資料を求め青山の洋書屋さんに行っても、ラリーのものはほとんどありませんし、ましてや部品はさらに困りました」
エンジンはワークスカー並みの出力へチューンアップ
131ラリー入手後は、それまで所有していた131のセダンを解体して必要な部品をストック。イタリア車を扱うショップに相談したり、フィアット系のパーツを扱うショップのバーゲン時には必要そうな部品は買い溜めていたという奥野さん。
エンジンが壊れ自分でオーバーホールして載せ替えるが、しっくりこないので、「J-CRAFT」に修理を依頼した。オーダーは「筑波サーキットを壊れないで気持ちよく走れるパッケージ」だったそうだ。
「131ラリー ストラダーレのカタログ出力は140bhpですが、完成時のダイナモチェックで210bphほど出ていました。4000rpm以上回せば、さらにパワーの盛り上がりが気持ちよく走ります」
ちなみにワークスカーは機械式インジェクションにより215〜240bphを発揮していたので、この仕様には大満足しているそうだ。
1980年WRC制覇のワークスカラーにお色直し
前後して、1980年にWRCのタイトルを獲得したワークスカラーにお色直し。アッティリオ・ベッテガがWRCではなく国内戦を戦った時を模しているそうで、メーターが並ぶダッシュボードはグループ4そのものである。
「今日は友人のOLIO FIATカラーの1台が整備中で本人のみの参加でしたが、1976年デビューのフィアット131 アバルト ラリーとして50周年となる2026年には、さらに多くのオーナーさんたちと祝いたいですね」
131ラリーのオーナーは、ぜひSNSなどで奥野さんに連絡を取ってみてほしい。
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2025年度のアバルトカップは、4月6日(日)のラウンド1を皮切りに、ナリタモーターランドにて4回開催の予定だ。サーキットで過ごす1日、エントリーフィーは1万2000円となっているが、半額になる学生割引もあるので、未経験の方もこの機会にぜひ楽しんでみてはいかがだろうか。気になる方は、124ssk65@gmail.comまで問い合わせていただきたい。
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