停電した中でも意外と豪華なご飯!?
午後、Mさんからアトランタ行きの便が欠航、到着が丸1日遅くなるという連絡が入った。夕食の支度を始めると、突然、電気が消えた。停電である。慌てて荷物の中からヘッドライトを取り出した。シエラネバダのキャンプ用のギアが、思わぬところで役に立った。
ところが、キッチンの熱源がIHのため煮炊きができない。せっかくの生チキンは、スープと一緒に鍋に入ったままだ。こんなことならフライドチキンを買うんだった。仕方なく、山歩きで残ったバーやナッツとワインで飢えをしのぐ。夜になると雨風が強くなり、スマホの警戒アラートが3回鳴り響いた。
翌朝、ハリケーンは北に去った。しかし、電気は復旧しない。街に出ても店はオープンしていないだろう。すると、宮澤カメラマンが庭にあるBBQグリルが使えるようだという。それならば例のソースでチキンをマリネして焼いてみよう、ということになった。結果的にこれが大正解。ワインとともに豪華な昼食となった。
午後、街に出てみたが、ハリケーンの後始末でミュージアムもレストランも営業していない。取材にならないので郊外をドライブ、夕景のミシシッピ川を楽しんだ。
夜9時半、M編集長が到着したが、依然として宿の停電は復旧しない。被災ふた晩めを4人で過ごした。
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このミシシッピの旅で筆者が取材した内容を1冊にまとめた本が2025年3月13日に発売となった。アメリカンミュージックのレジェンドたちの逸話とともに各地を紹介しているフォトエッセイ、興味のある方はぜひチェックを。
>>>『アメリカ・ミシシッピリバー 音楽の源流を辿る旅』(産業編集センター)
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