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フェラーリ「12チリンドリ スパイダー」はGTとしてロールス・ロイス級の心地よさ…スポーツカーとしてはもはや敵なしの跳ね馬でした

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: Ferrari N.V.

V12サウンドのシャワーのなかマシンとの一体感を楽しむ

リスボン郊外のオーシャンリゾートホテルを起点に国際試乗会が開催された。用意された試乗車は全てヴェルデ・トスカーナという落ち着いたグリーンの外装ペイントにテッラ・アンティカという明るめのブラウンレザー内装を組み合わせている。

試乗の日は朝から快晴。やや肌寒かったもののオープンエアを楽しむには最高の天気だし、何よりもうすぐそこにロカ岬まで続く海岸線の道がある。エンジンスタートボタンを押してから、ためらうことなくルーフを開けた。

ふたたび青空が見えるまでわずかに14秒だ。走行中でも時速45km/h以下であれば開閉可能、というのはこれまで通り。RHTながら2シーターゆえ軽量コンパクト。だから走行中でも操作できる。

クーペ状態では意外におとなしかったV12サウンドも、ルーフを開ければ存在感をもってはっきりと耳に届きはじめる。軽くブリッピング。V12ノートの心地よいシャワーがふりそそぐ。

もっとも、オープンにしなくてもサウンドを楽しむ方法がある。ルーフクローズドのままリアの垂直ガラスだけをおろす、いわゆるカリフォルニアモードというもので、本来は風通しをよくするための装備だが、エグゾーストサウンドをダイレクトに聴くこともできるというわけ。

オープンでも車体の剛性フィールに大きな変化はない。舗装面の荒れた道を抜けてもミシリともせず、アシは自分の仕事をしっかりとやり通す。乗り心地はクーペと同等、もしくは少し良い感じにも思われた。

正確によく動く前輪と応答よく力感ある後輪のおかげで、マシンとの一体感を低速域から楽しむことができる。そのうえ心地よくさえずるV12サウンドを聴きながらのオーシャンドライブだから、冷たい空気を浴びてなお顔が自然とほころんだ。

エンジンも9000回転以上まで一気に駆け上がる!

そういえば夜通し風が強かった。路面にはところどころに大量の砂が積もっている。通り過ぎるたびに車体が滑ってしまうのだが、車体側が上手に補助して姿勢を正す。ドライバーも慌てることなく反応できる。図らずも見事なシャシー制御を体感したわけだ。ちなみにFRらしく豪快に滑らせても楽しいマシンであることは、去年のグッドイヤープルービンググラウンドで体験済みである。

海岸線を離れると同時にルーフを閉めた。カリフォルニアモードでワインディングロードを軽く攻めてみる。レースモードでは相変わらず後輪の動きに多少違和感があったが、シャシー制御をとことん信じて走ればタイトヴェントも驚くほど素早くクリアする。

加速フィールは問答無用に素晴らしく、エンジンも9000回転以上まで一気に駆け上がり、そのスムーズな回転フィールに驚くほかない。スポーツモード以下では変速ショックもほとんどなく、エンジン回転はつねにドライバーの心とともにある。制動フィールもまた官能的だ。効きはもちろん、コントロール性がずば抜けて良い。だからまたついついアクセルを踏む量も増えていく……。

GTカーとしてはまるでロールス・ロイス級の心地よさ。一方でスポーツカーとしてはもはや敵なし。スポーツとラグジュアリーの両面で世界トップに躍り出たドーディチ チリンドリ スパイダー。なるほどそのスタイルがすでにそんなパフォーマンスを物語っていた。

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