マツダ最後のロータリーエンジン搭載セダン
かつて、マツダといえばロータリーエンジンでした。1986年から1995年まで販売された5代目「ルーチェ」にも、13B型ロータリーエンジン「13B」を搭載した「ロータリーターボ」というグレードがラインアップされていました。今回紹介するのは、純正ではAT仕様のみだったルーチェ ロータリーターボを購入し、オリジナルでMT化してしまったパワフルなオーナーです。
RX-7に憧れて、ロータリー仕様ルーチェを自力でMT化
小澤賢司さんが約30年乗っているというのがこの1990年式のマツダ「ルーチェ ロータリーターボ」だ。当時スポーツカーだけでなくセダンからバスまでさまざまなクルマにロータリーエンジンを搭載していたマツダ。このルーチェにもロータリーターボエンジンが搭載されている。
新車から5年落ちで走行4万kmのときに購入したという。
「当時はFC3SのRX-7が欲しかったのですが、新社会人になったばかりで買えませんでした。ならば、このルーチェなら同じエンジンで、これをマニュアル化すれば安いのでは? と買ってしまいました」
と小澤さん。ルーチェのロータリーエンジン仕様にはAT車しかないため、オリジナルでMTのルーチェ ロータリーを作ろうと思い立ってしまったのだ。
自動車関係の仕事をしていたこともあり、MT化は自力で行っている。トランスミッションはFC3Sのものでプロペラシャフトの長さを調節。MT仕様のルーチェの内装にすることで違和感なくMT化している。
ノーマル風に見えて細部まできっちり手が入っている
エンジンもじつは自らチューニング。載せ替えた翌年の夏のボーナスを使ってエンジンパーツを買い、ポートを広げてある。そのときに自ら組んだエンジンで8万~9万kmほど乗っている。
「当時の自分の技術力が信じられなくてスペア用にもう1基エンジンを買いましたが、結局エンジンが壊れなかったので、そのスペアエンジンはバラバラにしてまだ持っています」
エンジンは自らポートチューンし、インタークーラーはARC製。ハイフロータービンを組み合わせて制御はトラストのサブコンであるeマネージで行う。
足まわりはブリッツの車高調に、マツダスピードのLSDを装着。ホイールはSSRのフォーミュラメッシュでまとめる。タイヤは205/55R16サイズのFIRESTONE FIREHAWKを組み合わせている。フロント7J、リア8Jを合わせていて、リアはフェンダー爪折りなしで干渉せずに見事なツライチになっているのもポイント。ノーマル風に見えてきっちり手が入っている。
外装はユアーズのエアロバンパーを装着。内装はダイハツ「シャレード デ・トマソ」用の純正レカロシートを装着。マツダオプションのMOMOステアリングに、マツダスピードのシフトノブも渋さ満点だ。
MT化してもタービン交換しても燃費は変わらず……
もともとは通勤仕様で普通に使っていたそうだが、最近はセカンドカーがあるのでたまにドライブを楽しんでいるという。ちなみに燃費は4km/L。これはAT時代から変わらず、MT化してもタービン交換してもあまり変わらないそう。
「やっぱり気持ちよくて思わず踏んじゃうのがいけないんですかね(笑)」
ちなみに高速道路だと5.5km/L程度で、当時のカタログスペックである6km/L近く走ってくれるという。
約30年で10万kmを走行。現在の走行距離は14万km。エアコンを効かせるとエンジン冷却水の水温が上がるが、バッチリ効くようになっていて、今も普段乗りやドライブを楽しんでいる。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)