売り手も買い手もWin-Win? な1400万円オーバーで落札!
今回ボナムズ「LES GRANDES MARQUES DU MONDE À PARIS 2025」オークションに出品されたリジェ JS2は、1972年に製作されたシャシーナンバー「24767203」。印象的なイエローで仕立てられ、これまでのレストア歴の有無はカタログには記されていないながらも、内外装のコンディションは上々のようだ。
この希少なフレンチスポーツカーについて、新車時代から前世紀末までのヒストリーは残されていないものの、1999年から2015年までムッシュ・ラザロなる人物によってフランス国内で保有されていたとのことである。
現時点でも、古い形式のフランス国内登録ナンバープレートを保持しているほか、2012年時点の「コントロール・テクニーク(Contrôle Technique:車検証)」や、2015年に現在のオーナーが購入した際のインボイス。および一時抹消されたフランスの「カルト・グリーズ(登録履歴書)」が付属している。ただし、今回のオークション出品者である現オーナーは、自身の名前でナンバー登録したことはないとのことだった。
彼はボナムズ社の営業担当者と相談のうえ、6万ユーロ〜9万ユーロ(邦貨換算約960万円〜1440万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。さらにこの出品については、比較的安価なクルマ、あるいは相場価格の確定していないクルマでは定石となる「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うことを決定した。
過去10年を遡ってもせいぜい数台程度しか出てこないリジェ
この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることから会場の雰囲気が盛り上がり、結果としてビッド(入札)が進むこともある。しかしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札されてしまうという落とし穴も不可避的についてくる。
それでも2025年2月6日に行われた競売では、リスクを冒したことがみごとに功を奏し、終わってみればエスティメート上限に迫る8万9700ユーロ、日本円に換算すれば約1435万円という、出品サイドにとっては満足であろうプライスで、競売人のハンマーが落とされることになったのである。
リジェ JS2はヨーロッパのクラシックカーマーケットでも超レアな存在で、国際オークションに出品された事例を10年前まで遡って探してみても、せいぜい数台程度。だから、今回のオークションは出品者にとって、あるいは落札者にとっても嬉しい結果となったに違いあるまい。