国内での乗用車自社生産撤退から23年。それでも語り継がれる名車たち
いすゞは、小型から大型までの商用車を製造する一方で、「べレット」「117クーペ」「ジェミニ」など、数々の乗用車やSUVを生産していました。今回は、いすゞ車とスバル車を愛するオーナーたちが集うイベント「いすゞ・スバルプラス オーナーズミーティング」の模様を紹介します。
名車が多い、いすゞの乗用車たち
2024年11月3日に福岡県朝倉市にあるあまぎ水の文化村で開催された「いすゞ・スバルプラス オーナーズミーティング2024」は、2024年の開催で10回目を迎えた。当初はいすゞ車を中心に開催されていたが、スバル好きの仲間の声を取り入れ、いすゞとスバルを中心にしたイベントに発展した。その後、他メーカーの車両オーナーも参加するようになり、プラスという括りで、いすゞとスバル車を中心に好きな旧車を共に楽しむ仲間たちが集まるイベントとして、10回続いてきた。
2024年の開催は青空に恵まれ、会場となったあまぎ水の文化村には、いすゞやスバル車をはじめ、他メーカーの車両を含めて80台ほど集結した。10回目という節目の年は、多いに盛り上がりを見せた。
イベントを主宰する柘植さんは、2024年に開催された「九州テンロク・ミーティング」も実施しており、自身の愛車がいすゞ2代目「ジェミニ」ハッチバックであることから、いすゞユーザーが集まる場を設けたいと思ったことがイベント開催のきっかけとなった。その後、スバルファンとの交流が広がり、2メーカー合同ミーティングに発展。今回の10回目の開催をひと区切りとして、このミーティングは最後の開催であることが募集の時点で告知されていた。
イベント復活の日を夢見て、多くのレア車が集結
合計で80台ほどの参加者が集まったが、一際目立っていたのは、やはりいすゞの名車たちだ。「べレット」「117クーペ」といった1960年代を代表する名車はもちろん、「ジェミニ」や「ビッグホーン」など、1980年代以降のいすゞ車は見る機会が少ないのが現実だ。そのため、台数が少なくても、いすゞの歴史を改めて感じることができるこのイベントは、とても貴重なものとなった。
一方、スバル車は「360」や初期型「サンバー」といった古い車両よりも、「R1」や「R2」「プレオ」など、1990年代後半から2000年代にかけて人気だった軽自動車が中心だった。また、「ヴィヴィオビストロ」や「ヴィヴィオタルガトップ」などの希少車も登場し、定番のボクサーサウンドを響かせる歴代「レガシィ」や「WRX」、「インプレッサ」も参加した。
さらに少数ながら、いすゞやスバル車以外にも、トヨタ「セリカ」や「カリーナED」、ホンダ「バモスホンダ」など、いわゆる「プラス」組の車両も参加。締めくくりのイベントとして、大盛況の1日となった。
代表の柘植さんによると、今後の開催は検討していないとのこと。しかし、イベント終了を惜しむ声が多いため、この意志を引き継ぐ人が現れれば、復活の可能性もあるかもしれない。
ちなみに、じつは筆者もスバル「インプレッサスポーツワゴンWRX」、いわゆる「涙目インプワゴン」のオーナーだ。現在はナンバーを返納しているが、取材以前からイベント参加に興味を持っていたひとりだった。「いつか愛車で参加しながら取材を」と思っていて、修理して復活させることも視野に入れていた。それだけに、ファイナルデイの取材ができたことは光栄だったが、非常に悔やまれる。
柘植さんが築き上げたその思い、筆者が受け継ごうかしら? そんなことまで考えてしまうほど、とても魅力的なイベントだった。いすゞ、スバルのオーナーの皆さん、いつかの復活を期待し、その時が訪れるまで愛車を大切に乗り続けてほしい。