BEVに逆風が吹くアメリカのテネシー工場で生産
GMジャパンは2025年3月7日、高級車ブランドであるキャデラック初の電気自動車「リリック」を1100万円(消費税込)で販売開始し、デリバリーは同年5月以降を予定と発表しました。これまで左ハンドルにこだわってきたキャデラックですが、リリックは右ハンドルでCHAdeMO(チャデモ)を採用し、日本市場を強く意識した仕様となっています。欧州ブランドと競合するミドルサイズSUVに投入されるリリックについて紹介します。
リリックを皮切りに2026年までにBEVを2モデル追加予定
2025年3月7日、GMジャパンは高級車ブランドであるキャデラック初の電気自動車(以下BEV)のキャデラック「リリック」を1100万円(消費税込)で販売開始し、デリバリーは5月以降を予定と発表した。キャデラックというと左ハンドル車のイメージが強いが、BEVのリリックは右ハンドルそしてCHAdeMO(チャデモ)の急速充電機能を採用しているのが特徴だ。
リリックはボディサイズが全長4995mm×全幅1985mm×全高1640mmというミドルサイズSUV。外観デザインは、キャデラックブランドのモデルであることがひと目でわかる縦長のLEDヘッドランプをはじめ、1967年型の「エルドラド」をオマージュしてデザインされたテールランプなどキャデラックの伝統を受け継いでいる。
また新世代のキャデラックデザイン言語として、フロントグリルにはブラックのクリスタルシールドの中央に位置するクリアタイプのキャデラックレストを採用。リリックが新世代のBEVであることをアピールしている。
インテリアは、湾曲型にデザインされた33インチアドバンスドカラーLEDディスプレイをはじめ、宙に浮いているように見えるセンターコンソール、そしてリアルなウッドパネルにより、上質さと未来的なイメージを演出する。さらに、ドアパネルには業界初のレーザーエッチングバックライトを配して、きらめくような光の動きを生み出す「KOMOREBI(こもれび)」がキャビン全体にあたたかみのある空間を創出している。
電動化されたことにより、リアシートのレッグスペースはクラス最高レベルの広さを実現。また電動開閉式のテールゲートを備えたラゲッジスペースは5人乗りの時が793L、リアシートを倒すと最大で1722Lまで拡大する。
新BEVプラットフォームを採用
リリックは、まったく新しいBEV専用のプラットフォームを採用。出力タイプを選択できるドライビングモーターなど、電力の変換や制御、供給を統合したパワーエレクトロニクスとバッテリーセルを組み合わせた独自のモジュラーシステムで構成する。
車両の下部にそって路面と水平に配置されたバッテリーを、前後のタイヤ間に収めることで低重心による安定性の向上と構造上の強度を確保。さらに前後の重量配分も50:50という理想値を実現している。
リリックのパワートレインは、前後に2つのモーターを搭載し、システム最高出力は522ps、最大トルク610Nmを発生。ロングドライブを可能とするため、95.7kWhという容量のバッテリーを搭載し、1回の充電で走行可能距離は約510kmを達成。普通充電に加えて、日本仕様のリリックはチャデモ対応の急速充電も行える。
駆動方式は前後それぞれの車軸にモーターを搭載したデュアルモーター仕様のeAWDシステムを採用。前後モーターを独立して制御することで、4つのドライブモードに準じたトラクションと安定性を確保。さらに通常はエネルギー効率を優先して電費を抑える一方、必要に応じて前後の駆動トルクの配分を最適化できる。
また3段階に切り替えられる回生ブレーキ機能により、アクセルペダルだけで加速から停止まで行えるスムーズなワンペダルドライブも実現。回生されたエネルギーはバッテリーに送られて、航続走行距離の延長に貢献できる。