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30年以上いすゞ初代「ジェミニ」を乗り継ぐマニアの心意気とは…「AE86」などの人気車には目もくれず愛し続けるには理由がありました

いすゞ 初代 ジェミニ:スポーティグレードのZZ(ダブルズィー)は、丸目2灯が採用されていた

「街の遊撃手」誕生前の初代ジェミニは後輪駆動

1974年に登場したいすゞ初代「ジェミニ」は、オペル「カデット」をベースにした世界戦略車で、日本では「ベレット」の後継として登場しました。1979年のモデルチェンジで、走行性能を重視した「ZZシリーズ」も追加され、FR車として密かに支持されました。今回は、この愛車を20年以上所有している「ジェミ吉」さんに、初代ジェミニへの思いを伺いました。

ドリフトを楽しむために手に入れた初代PF60型

「私はドリフトブーム世代なので、福岡出身の元D1ドライバー、“のむけん”さんが現役で走っていた時代にギャラリーとして遊びに行っていました。自分もやってみたいという思いが強くなり、車両を探した結果、たどり着いたのがPF60型ジェミニだったのです」

まだ大学生だったという“ジェミ吉”さん。手持ちの予算は少ないため、人気の日産5代目13型「シルビア」は買えない。さらに、人と同じクルマに乗りたくない性格だったため、人気のハチロク(AE86)系も却下。ホットハッチの代名詞だったトヨタ2代目「スターレット」も考えたが、良縁に恵まれそうだったものの最終的にはキャンセル。そんな矢先、たまたま売りに出されたのが初代PF60型ジェミニだったのだ。

当時は峠のPF60型ジェミニ仲間が存在

当時、PF60型ジェミニで峠を走っているユーザーが何人か存在していたそうだ。不人気車のため基本的に社外品は無く、あったとしても若かりし“ジェミ吉”さんには手が届かなかった。購入した車両は、足まわりが変更されていた個体で、マフラーやエキゾーストパイプなどは解体屋でパーツを探し、装着して走り回っていたそうだ。

「当時、峠で遊ぶためには、同じ車種に乗る仲間の存在がとても大切でした。何かトラブルがあっても、その仲間たちが助けてくれるからです。たしか、3〜4台はPF60型のユーザーがいたんですよ。だから私は降りることなく、このクルマに乗り続けていたんです。」

しかし、周りの仲間たちは次第に走り屋を卒業。そうなると、必然的にPF60仲間もいなくなり、気がつけば“ジェミ吉”さんひとりだけになってしまった。

意地で乗り続けて30年オーバー

“ジェミ吉”さんの現在の愛車は1980年式の初代ジェミニ。初めて購入したのも同じ年式だったが、事故で廃車にしたり、壊れて箱替えを繰り返した結果、1983年型、1984年型を2台、さらに部品取り車を含めて数台乗り換えてきた。20歳で初めて購入してから30年以上、必ず手元には初代ジェミニがあったことになる。

「今の愛車は、20年ほど前に手に入れたものです。知り合いが乗っていたけどエンジンが壊れているという理由で譲ってもらいました。その当時でもすでに3台所有していたので、これはエンジンを載せ換えて他のPF60型とのつなぎとして乗っていたのですが、当時のメインカーがボロボロになってしまい、気づいたらこちらのサブがメインカーに昇格していました」

外装は自家塗装で、合計4度塗り替えを実施。現在は、BMW E46型「M3」に設定されているラグナセカブルーに仕上げている。ぶつけて壊しても、溶接以外は自分で直すのが“ジェミ吉”さんの信条。塗装はカーポートにブルーシートを張って行っているそうだ。

「AE型の86はユーザーがたくさんいるし、イベントもあるのが羨ましいですね。九州では同型のユーザー仲間がいないので、集まることもできないですし。こうなると、意地で乗っているようなものです(笑)」

そう自虐的に笑う“ジェミ吉”さんだったが、20年以上眠っているというイベント用の個体を、いつか完全に仕上げて、どこかでお披露目してほしいものだ。

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