ロールス・ロイスのタイムカプセルが描く未来の物語
ロールス・ロイスは2025年3月17日、グッドウッド本社の拡張プロジェクトを記念して特別なタイムカプセルを作成することを発表しました。このカプセルは「フューチャー・タレント」プログラムのメンバーによって封印され、2054年にブランド創立150周年を迎える際に開封される予定です。カプセルには、会社の各部門・機能が選んだ記念品が収められ、30年後には廃れているものや、依然として使用されているであろうものが含まれます。
タイムカプセルが示す伝統と革新のつながり
ロールス・ロイスは、重要な建設プロジェクトの一環としてタイムカプセルを作成するという伝統を継承している。今回のカプセルは、同社の本拠地であるグッドウッドにおける20年以上ぶりとなる最大規模の拡張プロジェクトの一環として作成された。
カプセルの内容物は、ロールス・ロイスのフューチャー・タレント・プログラムの代表者であるインターン、卒業生、実習生らによって選ばれた。また、毎年開催される「サービス認定賞」では、同社で最も長く勤務している社員を表彰している。そのため、今回のプロジェクトに関わった人々の一部は、30年後にカプセルが開封される際にも引き続き働いている可能性が高い。
一般的なタイムカプセルとは異なり、ロールス・ロイスのカプセルは地中に埋められることはない。その代わり、ロールス・ロイス本社の受付エリアに設置され、社員や訪問者が見学できるようになる。拡張工事が完了後は、新施設内の恒久的な展示スペースに移される予定である。
タイムカプセルには、会社全体の各部門・機能から選ばれた記念品が収められている。その内容は、2054年に同社が創立150周年を迎えた際に開封されるまで秘密にされる。一部の品々は、30年後には廃れていることを想定して選ばれており、一方で、今後30年も使用され続けているであろうものも含まれており、ロールス・ロイスのクラフトマンシップと伝統の継承を象徴している。
このカプセルは、ロールス・ロイス・プライベート・オフィスに設置されている「キャビネット・オブ・キュリオシティ(好奇心のキャビネット)」と同様に、議論や探求心を刺激するきっかけになることが期待されている。内容が秘密にされていることで、その謎と可能性がより一層興味を引くものとなるだろう。
AMWノミカタ
30年前の身近な物を思い浮かべてみると、カセットテープやMDプレーヤー、ポータブルカセットプレーヤーやポケベル、使い捨てカメラなど、他のものに形を変えて姿を消してしまったものがたくさんある。自動車の世界も安全装備が大きく進化し、ハイブリッドや電気自動車(BEV)、自動運転など30年前には考えられない方向での進化を遂げている。
ロールス・ロイスの若者たちが納めたカプセルの中には何が入っているかはわからないが、30年後にそれを開いた人々に懐かしさだけでなく一周回って新しい感覚を与えられるのではないだろうか。同社の狙いはこのカプセルが30年後の人々のインスピレーションの源になり、またはブランドの不朽の価値を再認識させることにあるのであろう。じつに時間のかかる作業だが、ブランドの発展に寄与する過去からのプレゼントとなることだろう。