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なぜメルセデス・ベンツのシートは長距離でも疲れない? 空間設計における「95%の男性と5%の女性」の意味とは

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: Mercedes-Benz AG/妻谷コレクション(TSUMATANI Collection)

「呼吸」するメルセデス・ベンツのシート

乗馬をされる方は周知の通りだと思う。手綱をぎゅっと握り締めて走っていると手に汗をかく。馬の「たてがみ」で手をさっと拭くと汗がよく取れる。当初、メルセデス・ベンツのシートはスプリングやパッドの間に動物の毛(馬の毛および豚の毛)を採用し、各層の材質も目詰まりをしないように造られていた。その後、ヤシの実の繊維を採用し、今では環境の問題からウレタンスポンジでシートが構成されている。

一部C/E/Sクラスではシートベンチレーターを装備しファンで除湿する(モデルにより異なる)。本来、メルセデス・ベンツのシートは各層の材質が重なり合っても目詰まりを起こさない構造になっている。しかもシートの中の空気循環を良くし、身体の汗と湿気をうまく吸収し発散。

メルセデス・ベンツはロングドライブしても疲労が少なく、フレッシュな気分でドライブできるとよく言われる。このことがメルセデス・ベンツのシートが「呼吸」している理由だ。

ペダルを踏む疲れない角度は120度

ドライバーズシートに座って、さてペダルを踏む最適な角度を見出してみよう。意外と分からないものだ。メルセデス・ベンツではドライバーの膝の曲がる角度を120度になるよう設計し、最もペダルを踏みやすい疲れない角度としている。特に、座る面が膝の裏まで長いと「血液の循環」が圧迫され好ましくないからだ。とりわけロングドライブの場合、血液の循環が重要となる。

MANUFAKTURプログラムの採用

近年、新たにメルセデス・ベンツは、個性ある特別装備を選択可能な「MANUFAKTURプログラム」を外観と内装に導入した。このMANUFAKTURプログラムの最大の特徴は、こだわりの自分仕様を作りあげられることである。フルオーダーメイドではないが、数多く設定された特別装備を新車購入時にオーナーの好みで選ぶことが可能だ。

特にシートの素材はナッパレザーをメインとするが、一部のモデルではフルレザー仕様となるなど、モデルの特性に合わせてこだわりのある装備をラインアップ。例えば、シートと同色のナッパレザーのステアリングに仕立て上げることが可能だ。他のインテリアではウッドやピアノラッカー仕上げなど、最高級素材のみを使用し職人の手作業で磨き上げられる。

外観では個性豊かなボディカラーがある(深みのあるソリッドペイント/力強くボディを際立たせるマットペイント/高光沢のあるメタリックペイント)。なお、このプログラムの詳細は専用ウェブサイトで要確認。

* * *

このメルセデス・ベンツのシート設計の話はすでに旧時代の話かもしれない。現代では、総てがコンピューター設計へと進化し、快適で安全性の高い革新技術で開発されている。その意味でもメルセデス・ベンツのシートは、エンジニアたちがいかにして人間を中心に設計してきたのか、そして語り継いできたが体現されている。とくに、クルマのシートは、身体を預ける重要なパーツである。長距離ドライブはもちろんのこと、短距離でも身体が疲れないメルセデス・ベンツのシート造りは一日の長があるといえる。

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  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。
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