サーキット専用車が挑戦する厳しいテストプロセス
ブガッティのすべてのモデルは、妥協のない品質管理プロセスを経て製作されますが、サーキット専用車「ボライド」も例外ではありません。オーナーのもとへデリバリーされる前に、徹底的な最終検査とサーキットテストプログラムが実施され、完璧な仕上がりが追求されます。今回は、ボライドに課せられる驚異的なサーキットでのシェイクダウンの様子を紹介します。
完璧な仕上がりを目指して
ブガッティ「ボライド」は最高出力1600psのエンジンと軽量なカーボンファイバー製シャシーをはじめ、一流モータースポーツの革新技術を多数採用し、比類のない性能を実現している。すべての個体は、最高品質と完璧さを保証するため、綿密なシェイクダウンを経て出荷される。
この品質管理プロセスの中心には、フランス・ジュヴェンクールにある全長3750メートルのミルクール・サーキットとの緊密な協力関係がある。この専用コースを活用することで、ブガッティはモルスハイムの近くに包括的な性能テスト環境を確保し、専門チームによる徹底した走行試験を実施している。シェイクダウンには、品質管理ドライバー、タイヤマネージャー、冷却マネージャー、メカニック、電気技師の計8名が動員され、1日に最大2台の車両をテストし、あらゆる動的特性を評価する。このシェイクダウンプロセスは2段階に分かれ、それぞれ異なる側面からボライドの性能を検証するよう設計されている。
第1段階 精密性と基本
最初の段階では中程度の速度で慎重に慣らし運転を行い、ステアリングの検証から開始する。その後、ドライバーは段階的なブレーキテストを実施し、時速50kmから徐々に加速しながら最終的に時速250kmまで達する。これにより、ブレーキシステムを適切に慣らしていく。このプロセスには、横方向の操舵やさまざまなブレーキシナリオを通じた不規則なノイズの検出、ならびに専門技術者によるピットでの頻繁な技術検査が含まれる。また、チームはダッシュボードのすべての計器と機能を検証し、各システムが最適に作動していることを確認する。
第2段階 極限性能
車両の準備が完了と判断されると、フェーズ2では厳格な安全プロトコルを維持しつつ性能を限界近くまで引き出す。チームはタイヤ、ブレーキ、ギアボックスの温度を徐々に上昇させながら、集中的に周回を重ねる。
ドライバーは、ABSやトラクションコントロール機能を含む安定性および安全システムの徹底的な評価を行う。このプロセスには、ローンチコントロールの起動や、300km/hに達する速度での複数周回によるレースシナリオのシミュレーションも組み込まれている。テスト中、チームは特定の温度目標値を設定し、冷却間隔を厳密に管理する。ブレーキは300℃以下、エンジンは90℃以下に冷却されなければ、さらなる性能検証を継続することはできない。
最終的にボライドの性能は制動力が最大2.5Gに達し、ブレーキ温度が1000℃に達するなど、極限に近い状況下で検証される。こうした厳しいテストにより、オーナーが運転する際に常に安全に優れた性能を発揮できることが保証される。ブガッティは、コストを度外視してボライドの完璧さへのこだわりを追求している。