唯一無二のアートカーが渋谷に登場
渋谷のカルチャー発信地・神南エリアで、2025年3月15日(土)〜16日(日)の2日間限定で世界に1台のアートカーが出現しました。アーティスト・COIN PARKING DELIVERY氏が手がけたトヨタ「ハイエース」は、すべて手描きで仕上げられたもの。会場には多くの若者が集まり、限定アイテムの配布や写真撮影を楽しむ姿も見られました。クルマとアートの融合が生み出したイベントを振り返ります。
渋谷で開催されたクルマ×アートの特別な2日間
渋谷には、センター街、公園通り、道玄坂、宮益坂、文化村通り、スペイン坂など、多くの個性豊かなストリートが存在する。そのなかでも神南一丁目交差点から原宿方面へ続く「ファイヤー通り」は、感度の高いセレクトショップ、ストリートブランドが立ち並ぶ、渋谷のカルチャーを象徴するエリアだ。そんな神南エリアに位置する北谷公園で、クルマとアートが融合したユニークなイベントが開催された。
このイベントは、株式会社STARBASE(スターベース)がトヨタと立ち上げた、クルマの新しい楽しみ方を提案するプロジェクト「Drive Your Teenage Dreams.(DYTD)」の一環として企画されたもの。2025年3月15日(土)〜16日(日)の2日間限定で、アーティスト・COIN PARKING DELIVERY氏とのコラボレーションイベントが行われた。
COIN PARKING DELIVERY氏が手がけた世界に1台のハイエース
COIN PARKING DELIVERY氏は電車での移動時間にスマートフォンを使い、指で絵を描きだしたことをきっかけに2018年より活動を開始。ポップな作風で瞬く間に人気を博し、パブリックアートの設置や大手企業とのコラボレーションなど幅広い表現で注目を浴びている。
展示されたのは、COIN PARKING DELIVERY氏が手がけた世界で1台のトヨタ「ハイエース」だ。一見するとラッピングされているように見えるが、近くに寄ってよく見ると手描きでペイントされていることに気付く。
マットブラックのボディをベースにCOIN PARKING DELIVERY氏のアイコン的存在である「白井さん」などが描かれたハイエースには、白井さんのモニュメントが助手席で旗を振っている。
会期中に会場へ向かうと、10代後半から20代の若者たちが抽選で配布された数量限定の非売品アイテムを手に取り、クルマとともに撮影を楽しむ姿が印象的だった。
クルマ×アートのムーブメント
ここ近年、大手アパレルブランドとアートとのコラボレーションは一般的になってきた。低価格で提供するSPA(製造小売業)のユニクロやGUなどでは、世界的現代アーティスト・KAWS(カウズ)や事前告知なしで完売した江口寿史氏とのコラボレーションなど、その人気は衰えることがない。この流れはクルマ業界にも波及し、Z世代を中心に人気のアーティストを起用したプロジェクトが増えつつある。
Drive Your Teenage Dreams.では、今回ハイエースの展示にくわえてKing&Princeの髙橋海人氏とダンスクルー「Rht.」のリーダーKAITA氏によるダンスセッションムービーを公開した。これは138万回以上の再生を記録し、クルマとカルチャーの融合を広める試みとして注目を集めた。
このほかにも、2024年にベントレーはペイントアーティスト・はくいきしろい氏のアートを施したベントレーのラグジュアリーSUV「ベンテイガ オデッシアン エディション」を六本木ヒルズカフェ/スペースで公開した。はくいきしろい氏も若年層から人気を博すアーティストであり、普段ベントレーと関わりのない人々にもその魅力を伝えた。
クルマ離れが進む若者世代に向け、自動車メーカーはアートやカルチャーと融合した新たな価値を提案しはじめている。今回の取り組みも、その一環として若者の関心を引き寄せるきっかけとなっただろう。