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女性オーナーが新車購入して23年19万キロ! 毎日使い込まれたフィアット「パンダ」の味とは?…車の楽しさの真髄を再確認【旧車ソムリエ】

女性オーナーが新車購入して23年19万キロ! 毎日使い込まれたフィアット「パンダ」の味とは?…車の楽しさの真髄を再確認【旧車ソムリエ】

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 神村 聖(KAMIMURA Satoshi)/武田公実(TAKEDA Hiromi)

  • フィアット パンダ ヤング:2002年式で、チンクエチェント博物館」が新車として並行輸入した個体
  • フィアット パンダ ヤング:現在も所有中の女性オーナーが23年間・約19万kmにわたって愛用してきたという1台
  • フィアット パンダ ヤング:エクステリアでは、すでにカーブドガラスが常識となっていた1970年代末にあって、ウインドスクリーンを含めてすべて平面ガラスを採用
  • フィアット パンダ ヤング:コストを徹底的に抑えるかたわら、さまざまなアイデアを駆使して極めて魅力的なベーシックカーに仕立てられていた
  • フィアット パンダ ヤング:装着するタイヤのサイズは155-65R13
  • フィアット パンダ ヤング:ボディも一切の曲面を排し、機能美さえ漂う平面パネルだけで構成されている
  • フィアット パンダ ヤング:「ヤング」仕様はイタリア市場で販売されていたモデル。若年層の需要にこたえ、初期型「プリマ・セリア」を思わせるシンプルな仕立てとしたベーシックバージョンとなる
  • フィアット パンダ ヤング:エンジンはファイア1100+インジェクションとなる
  • フィアット パンダ ヤング:コクピットではダッシュボード全幅にわたる大きな棚が特徴
  • フィアット パンダ ヤング:シンプルきわまるメーターパネル。タコメーターが無いので、変速タイミングは自分の耳で判断せねばならない
  • フィアット パンダ ヤング:1991年からは富士重工から供給されるECVTを組み合わせた「セレクタ」も設定されたが、この個体はスタンダードのマニュアル仕様
  • フィアット パンダ ヤング:センターのスイッチ類にもどこか洒脱な雰囲気が漂う
  • フィアット パンダ ヤング:シンプルながらも座り心地の良いシート
  • フィアット パンダ ヤング:リアシートはシンプルなベンチタイプ
  • フィアット パンダ ヤング:愛知県の知多半島、内海海岸で開催された大型ミーティング「チッタ ミラマーレ」会場でこの個体に出会った
  • フィアット パンダ ヤング:ボディも一切の曲面を排し、機能美さえ漂う平面パネルだけで構成されている
  • フィアット パンダ ヤング:パワーはわずか54psに過ぎないファイアエンジンは、回転を一定以上に保っておかないと充分なトルクを発生してくれない
  • フィアット パンダ ヤング:正確かつナチュラルなノンパワーのステアリングは「カーブを曲がる」という単純な行為すらも楽しいものとしてくれる

2002年式 フィアット パンダ ヤング

「クラシックカーって実際に運転してみると、どうなの……?」という疑問にお答えするべくスタートした、クラシック/ヤングタイマーのクルマを対象とするテストドライブ企画「旧車ソムリエ」。今回は、巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ氏の最高傑作にして、ヤングタイマー時代における小型実用車のマスターピースとしても知られるフィアット初代「パンダ」を俎上に載せ、そのあらましとドライブフィールについてお伝えします。

自動車史上もっとも偉大なベーシックカー!?

近年では「ヤングタイマー・クラシック」という呼び名がすっかり定着した感のある前世紀末のクルマのなかで、自動車史上もっとも偉大なモデルは何か? という壮大な質問を受けることがあるならば、筆者は迷いつつも「フィアット初代パンダ」と答えるだろう。

第二次大戦終結後から作られた欧州のベーシックカー、例えばフォルクスワーゲン「ビートル(タイプ1)」や初代「ミニ」、シトロエン「2CV」。あるいはパンダの祖先にあたるフィアット「500」などは、単に簡素なだけでなく輝くような独創性を持ち、それぞれの時代とお国柄を見事に体現。今なお世界中のファンに敬愛されている。パンダは、そんな素晴らしき時代の最後を飾る1台だからである。

1979年11月に発表。翌1980年2月から生産開始されたフィアット パンダは、戦後イタリアの国民車となった「ヌォーヴァ500」とその流れを組む「126」に代わって、フィアットのボトムレンジを担当することになったモデル。コストを徹底的に抑えるかたわら、さまざまなアイデアを駆使して極めて魅力的なベーシックカーに仕立てられていた。

ジウジアーロの最高傑作! フィアット・パンダとは?

パンダでは「イタルデザイン」社のジェルジェット・ジウジアーロ氏が、ボディ/インテリアのデザインだけでなく、基本コンセプトの立案からエンジニアリングに至るまで深く関与。エクステリアでは、すでにカーブドガラスが常識となっていた1970年代末にあって、ウインドスクリーンを含めてすべて平面ガラスを採用。ボディも一切の曲面を排し、機能美さえ漂う平面パネルだけで構成した。

いっぽうインテリアも、とくに最初期モデルのみの特徴ながら取り外し自由なハンモックシートと、そのデザインを応用したダッシュボード全幅にわたる大きな棚。左右に可動する灰皿など、実用的かつ魅力的なアイデアに満ちあふれるとともに、いかにもイタリアらしい洒脱なテキスタイルを巧みに使用。決して高級ではないが、極めてセンスに優れていた。

前輪を駆動するエンジンは、元来RRの126用ユニットを拡大、FFに転用した縦置き空冷直列2気筒OHV・652ccと、こちらも「127」から流用された横置き水冷直列4気筒OHV・903ccの2本立てでスタート。1986年からはフィアットの新世代エンジン、769ccから999ccに至る「ファイア(FIRE)」SOHCユニットへとスイッチされる。

その後も、燃料噴射化や1108ccへの拡大などが随時行われていったが、生産末期の2001年には、一部市場で併売されていたOHVの旧型ユニットや小排気量FIREはすべてラインアップから消え、1108cc+インジェクション仕様に一本化された。

ジェルジェット・ジウジアーロ氏は、のちに自身の最高傑作と称されることになるパンダで「現代のシトロエン2CV」を目指したといわれる。しかしパンダは、もはやお手本とした2CVに勝るとも劣らない存在として認知。2002年11月をもって生産を終えるまで、長らく高い商品力と人気を保ち続けたのだ。

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