初代ルーテシアのオーナーは日本に一時帰国中
ルノーのコンパクトハッチ「クリオ(日本名ルーテシア)」は1990年にデビュー。初代モデルは今やヤングタイマー・クラシックの領域で、街で見かける機会もめっきり減り希少な存在となっています。そんな初代ルーテシアを愛用する“Ken ob”さんは、日本人ですが現在はオーストラリアに住んでいて、今は2年限定の一時帰国中なのだそうです。いずれはオーストリアに持ち帰る予定という愛車を紹介してもらいました。
ネットオークションで5万円で購入
ルノーの初代「ルーテシア」に、家族5人とトイプードル1頭が乗り込んで、静岡県立三ケ日青年の家マリーナ広場で開催された「クリオミーティング」に東京から参加した“Ken ob”さん。これだけ乗れるのか!? と思いきや、現行モデルの「カングー」と2台で前泊して三ケ日まで移動してきたそうだ。というのも、3人のお子さんがチャイルドシートを装着する年齢のためで、さすがにルーテシアにはチャイルドシート3脚は装着できず、2台体制での移動となったという。
安全に対して素晴らしい姿勢だと思って話をさらに聞くと、“Ken ob”さんは日本生まれの日本育ちながら、現在はオーストラリアで永住権をとっていて、2年間限定で日本で暮らしているのだそうだ。ちなみに、オーストラリアから3脚のチャイルドシートを持参したそうだが、輸送費は無料になるとのことだ。
そんな“Ken ob”さんの初代ルーテシアは1996年式。2006年にネットオークションで10万円で掲載されていたものだそうで、その販売店で熱くルノーの話をした結果、5万円という破格の値段になり、そこからの縁だそうだ。
その後、バックパッカーとして世界中を旅してからオーストラリアに在住していたので、日本に残っていたこのルーテシアは妹さんがメインで乗られていたという。やがて妹さんが乗らなくなり竹藪にそっと隠しておいて、“Ken ob”さんの一時帰国に合わせてクルマを復活させたのだった。
MTに換装した愛車を100万円以上かけて復活
2006年に格安で手に入れて以来、大切に乗っていたが、AT車両であったため、MTに換装できないかと画策。長野県松本市のショップにたまたま部品取り車が入庫していたため、載せ換えを敢行し、小気味よいフランス車のマニュアル操作を楽しんでいる。
パーツなどは、日本で手に入るものも少なくなり、ヨーロッパから個人輸入したり、現地のクルマ好きの友人を頼ってパーツを購入して愛車を維持。世界中を旅して語学も堪能で、オーストラリアでは整備士の資格を取得して職業にもしていた“Ken ob”さんだけに、パーツ選定もお手のものだ。
日本に今回戻っている間にルーテシアを復活させるためには100万円以上を投入。車検取得だけでなく、凹みや傷のあった外装を鈑金塗装で補修、日本に1枚だけあったガラスを交換したりと、しっかり情熱をもって愛車を仕上げた“Ken ob”さんには、この初代ルーテシアならではの思い入れが強くあるそうだ。
オーストラリアに持ち帰って乗り続けていく
1980年代のルノーらしさが残る直線的なデザインが随所に残っていて、フロントフェンダーやクラムシェル型のボンネットのラインがたまらなく好きなのだという。ホイールキャップも当時のルノーは名前がついており、これは「エナジー」というタイプで鉄ホイールなのにアルミのような雰囲気に見えるのもポイントだそうだ。
そして、ボンネットも1980年代ルノー車には多かった、逆アリゲーター式(逆開きタイプ)はこのモデルまでで、余計に可愛いようだ。さらに「Lutecia」のエンブレムバッジは、フェーズ1と2のみのロゴで、日本でも当然ながら希少だが、海外のユーザーからは「欲しい」という声が沢山あるそうだ。海外では車名が「Clio」なので、さらに興味深いアイテムなのだ。
そんなルノー愛に満ちている“Ken ob”さんだが、このルーテシアも近々オーストラリアに輸出して、かの地で乗り続ける予定だそうだ。車検もないので維持しやすく、持っている車種も「19」などルノーばかり。日本から今回持っていくクルマも含めて11台のルノー車を所持する“Ken ob”さんは、新旧ルノーを自分の車庫から出して、シャンゼリゼ通りの路駐を再現することが何よりも至福の時間だそうだ。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)