積載性と速さを両立したステーションワゴンの真骨頂
1990年代に流行したステーションワゴンブームを牽引したのは、スバル「レガシィ」だったといっても過言ではありません。その3代目モデルは1998年に登場し、ツーリングワゴン、セダン、そしてSUVタイプの「ランカスター」という3種類のボディが用意されました。ワゴンは世界最速記録を樹立し、セダンにはポルシェデザイン監修の「ブリッツェン」や、STIによるスペシャルチューニング仕様「S401 STi version」などの限定モデルが設定されるなど、走りを強調したイメージ戦略を展開しました。その結果、国内のみならず海外でも高い支持を集めました。
スポーツカー好きが選んだ、積載性抜群のツーリングワゴン
2024年11月3日に福岡県朝倉市あまぎ水の文化村で開催されたいすゞスバルプラス オーナーズミーティング2024にスバル「レガシィツーリングワゴン」で参加していたオーナーの“おだちん”さん。このクルマは2001年式のGT-B EチューンIIであり、最速グレードとして設定されていたモデルである。オーナーの“おだちん”さんは、特定のメーカーにこだわらず、速くてコーナリングが気持ちいいクルマを好む。そのため、トヨタのハチロクやホンダ「CR-X」、日産「プリメーラ」などを愛車としてきた経歴を持つ。
「クルマ以外にも釣りとキャンプが趣味でした。これらの荷物を積み込めて、なおかつスポーツ走行ができる車両を探した結果、このレガシィツーリングワゴンにたどり着いたのです」
ライバル車として日産「ステージア」も候補に挙がっていたが、自宅の駐車スペースの都合上、ほんのわずかではあるが5ナンバーサイズであることも重要な要素となった。“おだちん”さんにとって、レガシィツーリングワゴンはこれらの条件に合致する唯一の車両であった。
オンザレール感覚を満喫できる最速グレード
“おだちん”さんの愛車のグレードは、GT-B EチューンII。大小ふたつのタービンを用いて、低速からのトルク感と高速域でのパワー感を実現した2ステージターボと呼ばれるものだ。フロントサスペンションにはビルシュタイン製倒立ダンバー、AT車では任意に操作可能なスポーツシフトも搭載。なおMT車は最高出力280ps、AT車は260psと違いはあるが、最速グレードであることに変わりはない。
「元々はマニュアル車を楽しんでいましたが、釣りに行くと疲れて帰ることもあるためATを購入しました。でもMTで楽しむクルマでしたね。車体剛性が高く、足まわりがしっかりしているので、コーナーでのオンザレール感覚も素晴らしいです。安心感が高いので、釣りを優先してATを選んでしまった私がバカでした(笑)」
速さを楽しむための足まわりチューニングもぬかりなし
新車で購入して24年目。走行距離は約27万kmに達する“おだちん”さんの愛車だが、外装や足まわりなど、走りを追求したチューニングも施されているのが特徴だ。
外装は車高を落としても下まわりを擦らないエアロを探した結果、トミーカイラを選択。同社では、この3代目レガシィツーリングワゴンをベースにしたtb6というコンプリートカーを販売していて、そのエアロパーツとエンブレムを装着している。
エンジンはノーマルだが、マフラーはフジツボのレガリスRエボリューション。エキマニはノーマルに戻し、センターパイプをフラットレーシングに変更している。今回で4本目のセットになるというサスペンションは、オーリンズ、プローバなどを経て、エナペタルチューニングによるビルシュタインを使用中。家族乗車の際は乗り心地重視、“おだちん”さんが走りを楽しむときは、セッティングを変更しているそうだ。
「本格的なスポーツカーには敵いませんが、ワゴンらしくない走りの良さが好きです。24年も連れ添っているので、愛娘よりもクルマを可愛がっていると家族から怒られることもありますが(笑)」
燃費や自動車税など最新のハイブリッド車などに比べると、この年代のクルマは出費が嵩むことも多いかもしれない。でも、新車で購入して24年。1台のクルマを乗り続けるということも、立派なエコ対策なのでは? と思わせてくれる“おだちん”さんであった。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)