軽トラのカミオンを目指して
オフローダーに人気のヨコハマGEOLANDAR(ジオランダー)で、世界屈指のオフロードレースに挑戦し続けている塙郁夫選手の軽トラが話題だ。テーマはダカールラリーなどでおなじみのカミオントラック。その作り込みは飾りではなくトコトン本気。塙選手が長年あたためて練り上げたプランをついに実行に移し、完成させた1台である。
オフロードレーサーが作った本気の遊びグルマ
国内オフロードレースはもとより、アメリカンデザートレースとして有名なバハ1000、そしてパイクスピーク、パリ・ダカールなど、ありとあらゆるオフロードシーンで活躍、日本を代表するオフロードレーサー・塙郁夫選手。縞選手は自らもマシン製作のファクトリー「サミットレーシング」を運営しており、その技術でビルダーとしても高く評価されている。
今回の「HIJETカミオンKT」プロジェクトは、ハードカーゴの田中宏之介代表と塙選手率いるサミットレーシングとの共同プロジェクトとして製作が進められた。
昔から親交のある両者が、「軽トラを使ってまだ世に出ていない面白いマシンを作ってみよう」という話し合いの中でプランを決定していった。そして「どうせ作るなら本気のカミオントラックにしよう」という結論になり、悪路においてガンガン攻めて走れる完全オフロード仕様のカミオントラックレーサーの軽トラ版を完成させたというわけだ。
足回りはダブルウィッシュボーンに換装
このハイゼットベースのカミオンKTは、オフロードレースでも使えるマシンとして、フロントの足まわりをストラット式から200mm以上のロングストロークを確保したダブルウィッシュボーン式に変更している。また、リアはリーフリジッド式をデルタリンク式に換装。ストローク量は驚異の300mm以上をマークする。サスペンションの作り込みを見ても、まさにカミオントラックの小型版といって良い作りだ。
そしてもちろん、タイヤはオフロード専用のマッドテレーンタイヤ「ジオランダーM/TG003」を選択。サイズは195/80R15を採用し、ハイゼット純正の外径と比較すると約150mmの大径化が図られた。ちなみに、このタイヤサイズは「ジムニーシエラ」と同一に設定したとのこと。
徹底的に突き詰められたサスペンション強化プランによって、ダートにおいてもハイスピードで走れるハイゼットカミオンKT。完成したマシンを駆り、実際のダートを攻めた塙選手の感想は「このままバハも走れるよ!」と太鼓判を押すほどであった。
見せかけではなく、本当に戦えるマシン。それがこの、ハイゼットカミオンKTのスゴさ、である。