熱海ヒストリカに参加していたキレイな「タテグロ」
2023年9月30日に静岡県熱海市の長浜海浜公園 芝生広場で開催されたACJ熱海HISTORICA(ヒストリカ)G.P.meeting2023(オートモビル・クラブ・ジャパンが主催)。会場で出会ったキレイな日産3代目「グロリア」(PA30型)のオーナーに話を伺った。
奥さんの実家のお客さんから10年前に購入した1968年式
グロリアの歴史は、立川飛行機の技術者たちが興した東京電気自動車を前身とする、プリンス自動車工業の最高級車としてスタートした。一番最初のモデルが登場したのは1959年のことだ。2代目まではプリンスのクルマだったが、3代目はプリンスと日産の合併後となる1967年に発表された。そのため、3代目グロリアは日産「セドリック」との間でパーツの共用化が図られ、4代目の230型からはセドリックとグロリアは完全なる姉妹車ということになってしまった。
そういったこともあり、プリンスのほうで開発が進められた初代/2代目/3代目グロリアに注目する自動車趣味人が少なからずいて、なかでも、その特徴的なフロントまわりのデザインから「タテグロ」などの愛称で親しまれている3代目は熱心なファンが多い。いまでも、ひときわ特別な存在となっているのだ。
この1968年式の3代目グロリアを現オーナーの“マジ”さんが購入したのは、10年前のことだそうだ。
「妻の実家が営んでいる稼業のお客さんがこの前期型のグロリアに乗っていたんです。それで、そのオーナーさんが往時からずっと所有してきたので、妻は子どもの頃から見ていたそうなんですよ。いつの日にか手放すときには声をかけてくださいね、と、すっかりおじいさんになったオーナーさんに伝えていたら、10年前に本当に譲ってくれることになって、いま私が3オーナー目として乗っています」
2カ月前に一気にリフレッシュしたばかり
マジさんは現在、23年前から愛用している「グランドハイエース」を足グルマとして使い、グロリアは週末に乗る、という使い方をしているらしいが、55年前のクルマなので取材時の累計走行距離は22万1829kmであった。走り込んでいるので当然のことながらグロリアの各部が経年劣化によってヤレてしまっており、一度リフレッシュしたことがあるそうだ。
「ずっと快調に走っていたので、じつは最近まで手を入れていなかったのですが、先日メーターが壊れて動かなくなったので専門店で診てもらいました。そうしたら、いろんなところがダメだったんですよ。もはや立派なクラシックカーなので、そりゃそうだ、という話ですが、2カ月前にさまざまなパートを一気に直しました」
詳しく伺ったら、ヘッドカバーを外してガスケットを新調し、イグニッションコイルを交換。セル、オルタネーター、ブレーキのマスターバック、ドライブシャフト、プロペラシャフトなども直したり、刷新したそうだ。
「タテ目のヘッドライトとゴールドのボディカラーがこだわりのポイントです」とも話してくれたマジさんは、過去に「ソアラ」、「マークII」、「ローレル」に乗っていたらしく、スペシャリティカーやハイソカーやサルーンの扱いに慣れている模様。アメ車的な雰囲気を持つスタイリッシュなグロリアのこともスマートに乗りこなしてくれることだろう。