アイディアを駆使してノーマルとの差別化
山形県鶴岡市で、イタリア車の販売やカスタムを手掛けているROSSO Cars（ロッソカーズ）は2023年で設立20周年を迎えた。それを記念し、同年6月10日（土）～11日（日）に「ROSSO MOTOR FESTA 2023」を開催。今回は同イベントで気になったFIAT&ABARTHオーナーを紹介しよう。
アバルト595C／自分自身の感性と見事にマッチするパーツをチョイス
コンパクトで丸みを帯びたキュートなエクステリアに惚れ、アバルト595とのカーライフを送ることに決めた工藤さん。新たなマイカーが手もとに届いたのはなんと撮影会の前日というタイミングで、初めてのドライブと初めてのイベントが重なるまさに記念すべき日となった。
愛車でイチバン気に入ってる部分を聞くと、迷わず「やっぱり屋根がオープンになることですね」と即答。この日はあいにく今にも雨が降り出しそうな曇り空で、会場までの道中はクローズドで走ってきたとのことだが、せっかくなのでルーフを開けて撮影に臨んでもらった。
スイッチの操作だけで開閉する電動ルーフはスピーディかつスムーズで、ある程度までの速度域なら走行中でも作動してくれるため、急な雨に見舞われたとき焦る必要がないのも見逃せないポイント。
工藤さんのアバルトは納車された時点である程度のカスタムが施されており、自分自身の感性と見事にマッチするパーツのチョイスも購入の決め手になった。そのひとつが限定モデルだったフィアット500ビンテージのクラシカルなディッシュのデザインを採用したホイールだ。艶があるブラックのボディとは対照的なホワイトで、メッキ処理されたセンターキャップもワンポイントとなっている。
4つのスリットからチラリと姿を覗かせるイエローのキャリパーもまた味がある。組み合わせたタイヤは優れたウェット性能で世界的な知名度を誇る、ミシュランの「スポーツアクティブ2」で安全かつ軽快な走りを楽しむ仕様だ。
ふたつめはリアまわり。メーカーは不明だがルックスもサウンドも最高という、レーシーなカーボン製テールを持つマフラーだ。本来のステンレス製テールエンドに被せて装着するタイプで、重厚感が増したリアビューは後続車だけではなく自分で眺めても惚れ惚れするほど。
それでいて純正のリアバンパーにスッキリと収まり、いかにもな後付け感が少ないのもスマートでいい。音量は当然ながら保安基準に適合しており、オープンにしているときでも車内の会話や音楽を妨げないレベルだ。それでいて音質はアバルトらしくスポーティなのがまた嬉しい。納車された直後ということもあり当分は現状のまま楽しむかもしれないが、イベントなどで他の個性的なクルマを見れば徐々にカスタムの熱が湧き上がってきそうな予感も？
フィアット パンダ4×4／SUVらしさを強調しつつ実用性を向上させた1台
過去に乗り継いだのはフィアット パンダを筆頭にイタリア車が多数。そんなガッチャンさんが今ハマっているのが、コンパクトなクロスオーバーのパンダ4×4クロスだ。じつは昨年の撮影会が行なわれたときも乗ってはいたが、納車されたばかりのフルノーマルだったため遠慮したそうだ。
今回はエクステリアを中心に個性的にカスタムされた、コダワリが詰まった愛車を駆り会場まで駆け付けてくれた。SUVらしさを強調しつつ実用性を向上させているのは、ルーフに取り付けたスーリーのキャリアバスケット。
元がコンパクトカーだけに積載量はそれほど多いとはいえず、リアシートまで人が座れば必然的に荷物を載せるスペースが犠牲になる。そこで活躍するのが頑丈かつ固定もしやすいルーフキャリアというワケだ。
分かる人には分かるツウ好みのドレスアップは、ライトまわりの樹脂パーツを艶消し塗装したこと。同じクルマのオーナーでなければ気付きにくいかもしれないが、ワイルドでタフな雰囲気にさり気なくイメージチェンジできている。
近年の流行でもあるウレタン素材の塗装ほど「別モノ」感はないものの、ノーマルらしさを維持しつつ個性をアピールするには格好の手段かもしれない。また1カ月前に導入したばかりとガッチャンさんが話すのは、足もとを飾るオールテレーンタイヤ。
様々な路面コンディションに対応する汎用性で高い人気を誇り、コンパウンドに高品質のシリカを配合することで泥濘路や雪道の走破性にも優れる。サイドウォールは嫌味ではない程度に無骨なデザインを採用し、さらにホワイトレターとトレンドのツボを着実に押さえたタイヤだ。サイズはオーソドックスな175/65-15で、ホイールはあえてノーマルのままというのも興味深い。
じつはタイヤのサイズも扁平率を含めて純正とまったく同じで、足まわりをリフトアップしているワケでもないのだが、ブロックパターンのせいか心なしか車高が上がったように感じるのが不思議だ。
パフォーマンス面においてもルックス面においても、数多くの専用アイテムが追加されたパンダ4×4クロスの面白さを、ワンランク上へ引き上げる重要なパーツといっていいだろう。フルノーマルから徐々に手が加えられてきたガッチャンさんの愛車、次に見かけるときはどのような進化を遂げているか楽しみだ。
アバルト595／DIYで手掛けたシンプルなカスタム
ふたりのクルマ仲間と一緒に撮影会を満喫していた佐藤義治さん。ドレスアップは現在の愛車であるアバルト595に限らず、以前から趣味のひとつとして楽しんでいた。初期はどちらかといえば派手なカスタムを好んでいたが、最近はめっきり落ち着いたらしくシンプルな路線にチェンジした。
ただし当時からまったく変わらないのはDIY好きで、このアバルトの各部にも自ら手をかけた痕跡がたくさんある。なかでも純正オプションや限定車と勘違いするほど、高いクオリティとセンスのよさに驚かされるのがインテリア。同じクルマの所有者であれば写真を見てすぐに気付くはずだが、グローブボックスとセンターコンソールのスイッチ周辺は、グレーのアルカンターラにひととおり張り替え済みだ。プロに依頼したといわれても不思議ではない丁寧さ、そして運転中も過度にうるさくなく目に優しい色のチョイスも見事。過去に激しめのドレスアップを経験したからこそたどり着いた、スマートながらも個性を演出することは忘れない大人のカスタムといえるだろう。
室内では後方にも目を移してみたい。ラゲッジ上部にある小ぶりなリアトレイは同じアルカンターラで張り替えているが、コチラはイタリアの国旗と同じくグリーン／ホワイト／レッドのトリコローレ・カラーに色分けして、センター部分には「ABARTH」のロゴを入れることでワンポイントのアクセントにした。
リアハッチを開けなければ気付かない隠れたオシャレさで、鮮やかなレッドのリアシートとのマッチングも上々だ。いっぽうエクステリアは基本的にノーマルを踏襲しており、リアのテールレンズのみスモーク化しているのが唯一と言っていい変更点。エアロパーツやステッカーなど定番のワザに頼ることなく、ちょっとしたアイディアを駆使してノーマルとの差別化を可能とする。
このようなバランス感覚は長年カスタムを実践してきた、ベテランならではのテクニックといっていい。余談だがアバルトとのカーライフを満喫している佐藤さんには、現在イタリアへ留学している息子さんがいるそうだ。クルマ好きのDNAは着実に受け継がれているらしく、なんと彼も現地で同じアバルト595を愛車にしているとのこと。いずれは日本でアバルト2台を並べてツーリングやイベント参加、なんて日が訪れるかもしれない。