唯一無二の存在感と個性をアピールした3台を紹介
山形県鶴岡市で、イタリア車の販売やカスタムを手掛けているROSSO Cars(ロッソカーズ)は2023年で設立20周年を迎えた。それを記念し、同年6月10日(土)~11日(日)に「ROSSO MOTOR FESTA 2023」を開催。今回は同イベントで気になったFIAT&ABARTHオーナーを紹介しよう。
フィアット500C ツインエア/唯一無二の存在感と個性をアピールに一目惚れ
フィアット500Cで撮影会に参加した宇野敏一さん。このクルマを選んだポイントは全部で3つある。ひとつめは何といってもソフトトップにより、オープンエアを感じながら走行できること。丸みを帯びた可愛らしいデザインはベース車両であるフィアット500のまま、圧倒的な解放感をプラスして唯一無二の存在感と個性をアピールする。
ソフトトップはスイッチ一つで開閉する電動式で、ガラス製のリアウインドウで雨の日でも後方の視界はバツグンだ。なお操作は走行中も可能でフルオープンなら80km/hまで、リアガラスを残したハーフオープンなら100km/hまで対応してくれるため、高速道路で急な雨に降られたとしても慌てずに済むのもいいところ。
そしてインパネはボディと同じカラーを採用しており、アイボリーのレザー調ステアリングやファブリック製のシートともよくマッチする。基本的に明るい色が揃うインテリアのなかで、ブラウンのシートベルトカバーがいいアクセントだ。
ふたつめは純正ホイールのデザイン。オーソドックスな8本スポークながらリムエンドに近付くにつれ太くなり、かつ若干のひねりを加えるという手の込んだ造形が気に入って、あえて社外ホイールに交換せずストック状態をキープしている。
組み合わせているタイヤはダンロップの「ルマンV」で、サイレントコアと名付けられた特殊吸音スポンジを採用し、ロードノイズなどを大きく軽減し快適な車内空間を演出。さらに突き上げの少ないソフトな乗り心地と、路面コンディションに左右されない高いグリップ力で、快適かつ安全なカーライフを力強くサポートするアイテムだ。なおサイズは純正と同じ195/45-16をチョイスしている。
もうひとつは2023年10月をもって惜しまれながら生産を終了した、個性的なフィーリングを満喫できるツインエアのエンジン。音や振動をできる限り抑えようとする日本車のエンジンとは異なり、味のあるドライブフィールを追求し世界中に多くのフリークを持つ。まさしく宇野さんもそのひとりを自認しており、わずか875ccながらターボを組み合わせ85psを発揮するパフォーマンスや、1Lを下まわる小排気量とは思えないほど豊かなトルクに心から惚れ込んでいる。もう二度と生まれないかもしれない名機を、これからも大切に乗り続けていくそうだ。
アバルト500C/ラリー車両をモチーフにカスタムを楽しむ
ラリー車両をモチーフにカスタムを楽しむショウ平さん。愛車アバルト500Cは知ってのとおりソフトトップを持つカブリオレだが、そのイメージとは対極といってもいいパーツ選びが絶妙なギャップを生み出している。特にこだわってモディファイした部分を中心に紹介していこう。
まずドライビングの楽しさや安全性に直結する操作系。ステアリングはラリーをはじめとする競技で昔から人気の高いOMP製、オーソドックスな3本スポークを持つタイプだが表皮にバックスキンを選択した。ドライビンググローブとの相性がよく滑りにくく繊細かつ正確な操作が可能で、一般的なレザーとは一線を画すスパルタンなルックスもお気に入りとのこと。ラリー車両を意識しているだけあり小径化はあえてせず、ノーマルと同等と思えるサイズを選んだところもポイントだ。
操作系ではもうひとつ、シフトノブにも注目してほしい。決して純正のデザインが気に入らなかったワケではないが、ラリー車っぽいステアリングとのマッチングを考えて変更した。
大胆にもシフトゲートまわりのパネルを取り外し、ストレートに伸びる長めのレバーとジュラコン製のトップにチェンジ。シフトノブに求められる握りやすさや操作のしやすさは当然として、あえてボルトなどを剥き出しにしたままの根元もレーシーでカッコいい。
ロールケージのような競技用の装備がないにもかかわらず、ステアリングとシフトノブだけでインテリアの雰囲気をガラリと変えるセンスはお見事である。
スパルタンなムードを醸し出すのに貢献しているのは、足もとを飾るOZレーシングのホイールも大きいだろう。1990年代のWRCで華々しい活躍を遂げたカストロール・カラーのST185セリカなどに装着され、その後はWRCで勝利を挙げるために世へ送り出された「クロノ」を履く。三菱「ランサー エボリューション」の純正ホイールとしても知られ、一時はOZレーシングの代名詞ともいえた名作だ。
ショウ平さんは「ラリーのファンにとって永遠の定番です」と惚れ込んでいる。組み合わせるタイヤは優れたグリップとコントロール性を両立する、ファイナリスト「595エボ」の205/45-16だ。ストリートのあらゆるシーンで安心して使えるだけでなく、サイドウォールに刻まれたアグレッシブなファイヤパターンはドレスアップ性も高い。
フィアット500/ノーマルのルックスを崩さないまま自分らしさをアピール
絶対に輸入車が欲しかったワケではないものの、国産車でこの顔に勝るクルマがなかったと話すakikoさん。納車されて1年と8カ月が過ぎた今も「とてつもなく可愛いです!」と、初めて目にしたときの衝撃と魅力はまったく衰えていないようだ。
ボディカラーこそ本当はアイスホワイトを希望していたが、中古車のタマ数が極端に少ないため断念して通常のホワイトに。ただしakikoさんが絶対に譲れなかったのは固定式のガラスルーフで、ソフトトップをオープンにしたときの解放感には及ばないものの、頭上に広がる空もメンテナンスフリーな点も気に入っているという。
たまに「スポーツカーですか?」と聞かれることがあるらしいが、自分にとってフィアット500は可愛らしいイメージ。アバルトとキャラクターが明確に異なるところも好きで、旧型になってしまったけど「末長く大切に乗り続けたいですね」と話す。
カスタムは純正のスタイルを大きく変えるつもりはないため、ところどころにイタリアの国旗であるトリコローレ・カラーをあしらう程度にとどめる。そのひとつがロッソで施工したフロントバンパーのカラーリングだ。
ボンネットを閉じていれば誰かに気付かれることはほとんどないが、いざオープンすると鮮やかな三色旗が出迎えるかのように視界へ飛び込んでくる。もうひとつはリアゲートの内側にある取っ手。フロント同様グリーン/ホワイト/レッドのカラーリングになっており、利便性とドレスアップを両立するワンポイントのカスタムといえるだろう。
さらにフロントガラス越しに運転席をよく見てほしい。ステアリングのトップにも三色旗があしらわれているのが分かるはず。元々はジムカーナやラリーといったステアリングを回す量が多い競技で、ステアリングのセンター位置が分かりやすいようにテープを巻いたのが始まりだ。それが徐々にドレスアップを好む人たちにも受け入れられ、手軽かつコストもほとんど必要ないことから定番のワザに。走り重視のドライバーなら黄色のビニールテープでも十分だが、akikoさんのように愛車が生まれた国の旗を選ぶケースもよく見る。
クルマは「自己表現のひとつです」と考えるakikoさんならではの、大好きなノーマルのルックスを崩さないまま、さり気なく自分らしさをアピールする格好の手法といっていい。