東京からの参加もいるほど大きなイベントに!
1990年から1999年に生産された車輌のミーティングということで、その名もズバリ「キューマル」。当時はバブルの影響もあり、自動車メーカー各車がそれなりの予算と威信をかけて、さまざまな車両を開発してきた。それゆえ、なぜこんなものが? と今では考えられない車両など、個性豊かな車種にあふれていたのだった。ここに登場するクルマを見て、「懐かしい〜!」と声を挙げた方はおそらくアラフィフから上の世代だろう。「これはなに?」と新鮮さを感じた貴方は、ここに並んだ各車と同じ世代なのだろう。2023年9月24日(日)に開催され、老若男女を楽しませてくれた「福岡キューマルミーティング」の模様を、ここでお楽しみあれ!
きっかけは、SNSからの情報発信だった
まず先にお伝えしておきたい。参加者が、予想以上に若いのだ。参加台数145台のうち、半数とは言わないまでも、20〜30代のオーナーが多い印象だった。この福岡キューマルミーティングは開催場所が非公開のため、会場にいるのは基本的に参加者とその同乗来場者のみ。それにもかかわらず、若い人が多いということは、いかに「キューマル」車に興味を持つ若手が多いか、ということだ。これに関しては、運営スタッフリーダーがこのイベントを開催することになった経緯を、このように教えてくれた。
「私が初代ミラジーノを購入して、免許を取った頃にやっていたようなカスタムを施してX(旧Twitter)にアップしていたら、若い世代の皆さんの反響が大きいことに気づいたのです。私もクルマ好きなので、年齢性別関係なく90年代のクルマに乗った皆さんと会ってみたい、というのがきっかけでした。そして、今から4年ほど前。8台ほどのプチオフ会を開催したのです。
実際にお会いしたオーナーさんたちは、90年代をリアルに体験した私たちよりも知識や情報量が豊富でビックリしました(笑)。逆に、若い方々はその時代を未体験のため、私たちのような体験者の実話にとても興味を持ってくれたのです。このプチオフ会の模様をX(旧Twitter)で報告したところ、反響が大きくて。とくに20〜30歳代の皆さんが興味を持ってくれた印象がありましたね」
その結果、「キューマル車のミーティングを開催してほしい」という声も大きくなったことから、2021年に初めてミーティングを開催。そのときも予想以上に参加希望台数が集まってしまったことで、公式に場所を借りて、非公開イベントとして第1回を実施したのだそう。そして、2022年の2回目に続いて、今年が3回目の開催となったのだ。
若いユーザーに愛されるキューマル車
今年の参加台数は145台。イベント名は「福岡」だが、東は埼玉県、西は熊本県からやって来た。車種も、日産は「180SX」、「シルビア」、「スカイライン」、「フェアレディZ」といった定番スポーツカーから、「セドリック」、「グロリア」、「シーマ」と大人気のセダンまで多数。その中に、「セフィーロ」や「パルサー」、「レパード」、「ローレル」がちらほらとおり、珍しいところでは「キャラバン」の参加もあった。
トヨタも、スポーツカーでは「スープラ」、「ソアラ」、「MR2」、「セリカ」など。そして、「セルシオ」、「クラウン」、「チェイサー」、「マークII」、「クレスタ」、「アリスト」、「カリーナ」などのセダン系。さらに、「セラ」、「カルディナ」、「カリーナED」といった、レア車も登場した。
その他のメーカーでは、ホンダは「プレリュード」、「アコード」、「インテグラ」、「S2000」、「アスコットイノーバ」、「トルネオ」。マツダは「RX-7」に「ルーチェ」、「ロードスター」。他のメーカーでは、ダイハツ「シャレード」、スバル「レガシィ」。Kカーでは、「トゥディ」、「サンバー」、「ビート」、「ワゴンR」、「ミラジーノ」、「ヴィヴィオ」、「AZ-1」などが集結した。
こうして車種を明記しているだけでも、誰もが知っている有名車から、存在を忘れていたようなレア車まで、バリエーション豊かな145台が集まったことになる。しかも、車種のジャンルで区分けしても、正統派スポーツカーからドリフトなどの走り屋系、純正ルック重視のオールドタイマーなセダンからVIP、そしてミニバンにKカーと、とにかくカスタム&チューニングのジャンルも幅広く集まっているのがとても印象的だった。
車種別ではレア過ぎて台数が集まりにくい。でも、「キューマル」という幅広い括りであれば、たくさんのオーナーに集まってもらえる。
「90年代のクルマ好きが同じ場所に集まって、皆さんで楽しんでもらえるのが一番嬉しい」
という主催運営スタッフの皆さんの思いは、間違いなく来場者に届いていると実感できる車種ジャンルの広さだった。
若手の交流の場としてミーティングの存在は必須
この福岡キューマルミーティングでたくさんのオーナーと話し、写真を撮らせてもらったことで分かったことがある。現行車などではなく、キューマル車のようなちょっと古いクルマに興味を持つ若手は、親世代の影響か、完全に自分の感性か。このいずれかに属するということだ。前者の場合は、決してクルマ好きな家族ではなかったとしても、「自分が子どもの頃に、親はこんなクルマに乗っていたな」という、良い思い出としての原体験を持っている人が多い印象。一方で後者は、「これがカッコイイ! これが可愛い!」という、自分の心の感性を揺さぶったクルマをわき目もふらずに追い求める人、というイメージだ。
そして両者に共通しているのは、好きになった愛車への情熱は、きっかけがどうあれ変わらない、ということだ。キューマル車は、車種によっては当時不人気過ぎて現存台数が少ない場合もある。対照的に、人気車種は当時の車両価格や価値を知る世代からすると、信じられないほど高額な価格設定になっているものもある。そしてどちらにも、パーツ入手や維持整備のコストの問題など、現行車にはない悩みがつねについてまわる。
それでも、彼ら、彼女らは、「自分が好きになったから!」という気持ちを力に変えて、日々SNSなどで情報を集め、仲間を増やしては交流を深めて、自分達にあったキューマル生活を送っているのだ。そのための交流場所として、福岡キューマルミーティングのような存在は必須なのである。
主催運営リーダーが福岡生まれの福岡育ちということで、イベント名に「福岡」と名付けられているが、いざフタを開けてみたら、九州地方を中心に全国からユーザーが集まった。しかも、「福岡だけでも、こんなにキューマル車が存在しているんですね!」と主催側が驚くほど、回数を重ねるごとに反響が大きくなっている模様。
「東京から参加してくれた方は、過去に僕たちの福岡のミーティングに参加してくれたことがきっかけで、東京キューマルミーティングを開催してくれているんです」
こんな事例もあることからも、この「キューマルミーティング」は、福岡を越えて、全国規模で波及する可能性と期待度を秘めているイベントだと感じた。