『ナイトライダー』に登場したナイト2000を忠実に再現
1980年代に人気を集めた海外カーアクションドラマ『ナイトライダー』を覚えている人は多いだろう。「ハイ、マイケル!」でおなじみの人工知能「K.I.T.T.(キット)」を搭載するポンティアック「トランザム」ベースの「ナイト2000」と主人公マイケルがさまざまな事件に挑み、派手なカーアクションを繰り広げながら解決へと導くシーンの連続に、幼少期のわれわれはテレビのブラウン管前で釘づけにされた。そんな時代を先取りしたドリームマシンのレプリカを作ってしまった人物を今回紹介しよう。
アメ車がステイタスだった時代
現在48歳の磯貝さんは、中学生の頃にテレビドラマを見てからナイトライダーに夢中になり、そこからさまざまな物をコレクションするようになった。そして、いつかはナイト2000のようなクルマに乗りたいと思い続け、20歳の時にポンティアック トランザムを購入。早速、外装をナイト2000らしく見えるように自分なりにカスタム! だが、プロではないので、やれることは限られる。レプリカとはほど遠いレベルの仕上がりで、自分的にはあまり満足はしてなかった……。
けれども、この頃のアメ車はそれに乗っていることが特別だったので、ステイタス性が高く、憧れの眼差しで見られたことだけは良い思い出。この時代、クルマがその人の価値を表すバロメーターにもなっていたから、トランザムのようなアメ車は目立ちもしたし、みんな乗りたがってもてはやされた。
GT-Rでは満足できなかった
そこからR32「スカイラインGT-R」が登場すると、話題のクルマが気になってトランザムを下取りに出して購入。だが、このクルマでは満足することができず、再び趣味のクルマとしてトランザムを買うことを決意した。
磯貝さんは、次にトランザムに乗るなら、今度は中途半端な仕上げではなく、完全なナイト2000レプリカを求めたい。そんな想いからアメリカの中古車やレプリカ市場を徹底的に探し、良さそうな車両を探すことに没頭。いろいろなサイトを探してみるとけっこう似た感じに仕上げたマシンも出てきたが、作りが荒いこともあってアメリカでの購入はいろいろと考えた末に断念。
日本国内であらためて自分のこだわりを詰め込んだ劇中登場車を作る事を決意し、ワンオフ加工を得意とする専門店を探し、そのお店とタッグを組み、磯貝さんのこだわりを詰め込んだナイト2000レプリカを完成させた。
ホンモノそっくりにこだわった
2台目のトランザムでは、ドラマで活躍するナイト2000の登場シーンを徹底的に分析。フロントノーズに取り付けたナイトライダーのアイコンとなるランプの大きさ、レンズカット、光の動き、スピード、さらに独特の作動音までも再現し作り込んだ。
また、内装についても研究し、ステアリングはもちろん、運転席前のコンソールは、ドリームカーであるナイト2000とまったく同じ作りで、配置のほか各スイッチ類の形状、色までこだわって作ってしまった。
さすがに人工知能K.I.T.T.(キット)の搭載は無く、ドラマの中で演じられた気の利いた会話もできないし、自律運転機構も付いていない……。だが、キットの名セリフについては、音声データを収録し、流せるようにしている。また、凝っていたのが、この音声はセンターコンソールのバーディスプレイと連動してちゃんと動いている点だ。よくドラマでも登場したキットのしゃべりを視覚的に表現するモニター機能も再現していたから面白い。
たまにクルマのイベントで見かけることがあるナイト2000。じつは日本国内に好き者たちが作ったナイト2000レプリカは約40台ほど存在していると磯貝さんは教えてくれた。だが、似てはいるが、同じ仕様は1台もなく、細かいところでそれぞれのオーナーたちがオリジナルの個性を出している。ちなみに、磯貝さんの場合はガングリップのシフトレバーやクルマの横に掲げている旗がオリジナルの主張ポイントであると教えてくれた。