日本語が使われたボディカラー
クルマの印象を大きく変えるボディカラー。そんなボディカラーには各メーカーそれぞれに名前が付けられているが、多くは「〇〇〇ブラック」や「〇〇〇レッド」など、英語名が付けられていることがほとんどで、中には「アイスチタニウムマイカメタリック」というような文字列を見ただけではどんな色か判断できないようなものまで存在する。しかし、中には日本語が使われたボディカラーを持つ車種も存在しており、こちらは英語名とは異なるイメージを醸し出している。今回はそんな和名のボディカラーをいくつかご紹介しよう。
トヨタ センチュリー 厳かなネーミング
和名のボディカラーと言って真っ先に思いつくのは、日本が誇るショーファードリブンのセンチュリーだろう。
現在はセダンに4色のボディラインアップがあり、「神威(かむい)」、「摩周(ましゅう)」、「飛鳥(あすか)」、「精華(せいか)」というカラーが用意されている。ただ厳かな名前すぎて逆にどんな色か分かりにくいことになってしまっているため、正式には「神威エターナルブラック」、「摩周シリーンブルーマイカ」、「飛鳥ブラッキッシュレッドマイカ」、「精華レディエントシルバーメタリック」と英語名も併記されているのはトヨタらしい。
また先日発表された新タイプのセンチュリーにも新たに和名のボディカラーが用意されており、「白鶴(はっかく)」、「黎明(れいめい)」、「麟鳳(りんぽう)」、「黎明 単彩(れいめい たんさい)」、「麟鳳 単彩(りんぽう たんさい)」、「黎明 杼型(れいめい ひがた)」、「紅蓮(ぐれん)」という7色が用意されている。
トヨタ WiLLサイファ 色をそのままアルファベット表記
トヨタを含む異業種の合同プロジェクトであるWiLLブランドの第3弾として、ディスプレイ一体型ヘルメットをモチーフに生まれたWiLLサイファは、今見ても奇抜なデザインが目を惹く1台だ。
そんなWiLLサイファのボディカラーは非常に分かりやすく、「SIRO」、「MIDORI」、「KON」、「KI」、「GIN」、「AKA」、「AO」と色をそのままアルファベット表記したものとなっており、マイナーチェンジのタイミングでMIDORIの代わりに「DAIDAI」が追加されている。ただ呼び名は特殊ながら、実際のカラーコードはすでに存在している同色のものと共通となっていたのだが、不思議なデザインの車両にマッチしたカラー名と言えるだろう。
ヒョンデ ジェネシスクーペ サーキット名から命名
現在はヒョンデの高級車ブランドとして名前を残すジェネシスだが、過去にはヒョンデのモデルのひとつとしてラインアップされていた時期があり、2008年から販売されていたジェネシスクーペは、FRレイアウトと2Lターボエンジンを持つこともあり、ドリフト競技などにも供されることがあったモデルとなっていた。
そのジェネシスクーペには「ツクバレッド」なるボディカラーが用意されていたが、これは言うまでもなく「筑波サーキット」のツクバであり、その他のカラーにも「シルバーストーン」や「バサースト ブラック」など、サーキットにまつわる名前が付けられていたのだった。
フェラーリ、マセラティ、アバルト 695、レンジローバー イヴォーク他
輸入車に和名のボディカラーが付けられるのは意外と珍しいことではなく、前述のヒョンデ以外にも、アバルト695やマセラティ、フェラーリなどのモデルにオーダーカラーとして「ビアンコ フジ」というカラーが用意されている。
ビアンコとはイタリア語で「白」を意味しており、フジは日本を象徴する「富士山」が由来で、富士山の山頂に白く積もる雪をイメージしたパールホワイトカラーとなっているのだ。
同様の由来を持つボディカラーにはレンジローバー イヴォークなどに用意された「フジホワイト」も存在しており、言うなれば日本の定番人気ボディカラーであるパールホワイトが海外でも受け入れられるようになったということなのかもしれない。